2011年7月15日金曜日

インドの鍛冶仕事 その二





数本の、太さの違う鉄の棒を、曲げて、叩いて、くっつけてつくった馬です。
簡単につくれるように見えますが、シンプルなだけに、動物の雰囲気を出すのはかえって難しいのではないかと思います。




こちらは棒ではなく、鉄の板を切ったり曲げたりしてつくった象です。
耳二枚を含めて、四枚の鉄板でできています。
身体は同じ形の鉄板を二枚切り、叩いてふくらませたものを、鼻、頭、背中、お尻の線で溶接してあります。




下から見ると、お腹のところで左右の鉄板を折って合わせ、足はそれぞれを、筒に形づくっているのがわかります。手で曲げようとしても、もちろんびくともしない、厚い鉄板です。

インドには、もっともっと精巧な、金属文化があるのは知っています。でも、私はマハラジャの好むような豪華なものより、こんな素朴なものに惹かれてしまいます。




厚い鉄の板でできた、明かりを灯す台です。

横浜の中華街のはずれにあったお店「トルクメン」で、この灯明を初めて見たときは、二、三個あった全部が売約済みでした。
誰が買ったのでしょう?
「トルクメン」の姉妹店の「チャイハネ」で働いていた、知人Sやその友人たちが、入荷したその日に買ったそうでした。

次に入荷するまでの、待ち遠しかったこと。
半年ほど待って手に入れた時は嬉しくて、大きくて重く、尖っていて危険なのに、包んでもらって電車で持って帰りました。
20年も前のことでしょうか。

横浜方面に行ったときは必ず寄ったトルクメンは、そこだけアフリカや南アジアの匂いがしている、どきどきするような、ワンダーランドでした。
今はもうありません。
バブル時代でなくても、経営が成り立つのが不思議なようなお店でした。もしかしたら、エスニックな衣類や雑貨を売って賑わっているチャイハネや、他にもあった姉妹店の利益をつぎこんで、オーナーが趣味でやっていたお店だったのかもしれません。




この灯明には、小さなお皿が九つついています。からし菜油などを入れ、のぞかせた灯心に火をつけて使うものですが、私は小さなろうそくを立てて使っていました。

いつのまにか、下げてある飾りが二枚失われてしまったのは、残念です。




動物は、上の方にヤギや猿、そして中ほどに猿と鳥がいて、下の段に馬がいます。
最近はすっかりしまい込んでいますが、今度菜種油でも入れて、明かりを灯してみたいと思います。

インドのどの地方でつくられているか、忘れてしまいました。でも、鍛冶屋の村の息吹は聞こえてくるようです。


2 件のコメント:

  1. インドの鉄の動物、やはりお持ちでしたね。(笑)
    横浜のお店、私も大好きでしたが
    閉店を知りませんでした。
    店内奥にあったアフリカの鉄の(不確定情報)お金はいつか手に入れたいと思っていました。
    私が訪ねた村はマドヤ・プラデシュ州のコナガオンという村でした。
    鍛冶屋集落の皆の名前が「ビシュワカルマさん」でした。
    動物ばかりの家族やギザギザの枠ばかり作る家族が点在して、村でランプを作っていました。
    午前中しか働かない生活はうらやましかったです。(笑)

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  2. 鍛冶耕治さん
    そうですか。家にある灯明のふるさとに行ったことがあったのですね。
    私のインド体験は、温々友人宅などに限られていて、手仕事の村には程遠いのですが、バングラでは木工や織物の村を訪ねたことがあるので、なんとなく感じがわかります。

    横浜のお店もご存知でしたか。
    普通、欲しいものが溢れているのに、何も買わないと飢餓感が残るものですが、あそこは違いましたね。何度も見るだけで、大満足して帰ってきました。

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