2012年8月24日金曜日
自立社会への道
六月に読みはじめた『自立社会への道』 (筧次郎著、新泉社)を今頃まで読んでいたなんて、お恥ずかしい限りですが、読み終えました。
この間、私から本をお勧めした方々はことごとく、とっくに読破されているというのに、なんということ。でも、一章読むたびに、牛が餌を食べるように反芻しながら過ごしてきました。
途中で、読んでいた本(実はIさんからいただいたもの)をSくんにまわして、買い直したりしたこともありました。
『自立社会への道』 は、この500年という近代を考える指標になる本です。
近代とは何だったのか、産業革命以後、植民地が世界中にできたり、奴隷が何千万人も売買されたのは何だったのか、日本が太平洋戦争の道を選んだのはどういうことか、貧しい国と富める国があるのはなぜかなどなど、近代史を整理して考えるのに本当に役に立つ、おそらく最上の本だと思います。
人生の中で、何冊か節目となるような本がありますが、そんな本でした。
そこで先日、筧夫妻をお招きして、この本を読まれたご近所のY夫妻もお招きして、各人が一つずつ質問を用意しておたずねしました。
私と夫の質問は期せずして似たもので、
「筧さんは、若いころフランスで過ごされた時期があったとはいえ、世界中に行く機会を持っていたわけではないのに、どうして世界の隅々の人々の気持ちまでそんなによくわかるのですか?」
というものでした。
というのも、日頃、
「私はあまり外国へ行ったことがないから」
と、日本中心に考えるのは当然だと開き直ったり、日本以外で起こっていることについては考えようとしなかったりする人が、あまりにも多いからです。
答えは、
「それは、私が仏教徒だからです。いつももっとも貧しい人の立場に立ってものごとを考えるようにしています」
というものでした。
福島は自分のこととして痛みを感じられても、パレスチナと言わず沖縄の痛みでさえも自分のこととしては感じられない、島国日本人のマジョリティーの考え方を突き抜けるものでした。
しかし、その鍵が仏教だったなんて、考えてもみませんでした。
筧さんはお寺のお生まれ、哲学者でもありますが、36歳の時から百姓暮らしをなさっています。
畑で採れた麦でつくったうどんや、トマトペイストをいただきました。
我が家で育っているウズラマメの種も、筧さんが八郷の老農からもらったものを、分けていただいたものです。
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