2012年8月7日火曜日
紡績工場の糸巻き
以前、織物をしていたせいか、織物に関する道具を見ると、気になってしまいます。
この古い糸巻きは、ずっと前に、イギリスの古いものを売っている店(Old Friend、今は雑貨屋)で見つけたものです。手織り用の糸巻きではなく、紡績工場で使われていたものです。
Made in Englandの刻印があり、糸巻きには丈夫にするため、鉄の輪がはめてあります。ものを大切にしていた時代のものでしょう。
この糸巻きも、別なときに同じお店で買いました。
使い込まれた木の感触と、識別するために塗られたペンキの色が素敵です。
写真を撮ろうとして、刻印がしてあるのに気がつきました。、目を凝らすと年号が読めました。1956年と、1960年です。
写真に撮って、写真を拡大してみると、そのほかの文字も読めました。
「TAIHEIMOKKO、たいへいもっこう。えっ、もしかして日本製?」
ネットで太平木工を調べると、ありました。富山県南砺市にある太平株式会社の前身です。
太平木工は、1924年(大正13年)に会社を設立して、木製挽きもの玩具の製造しはじめています。1927年(昭和2年)には、木製撚糸ボビンの製造部門をつくりました。
そして、ボビンに特化したのか、1954年に合成樹脂製のボビンを開発し、1971年には社名を太平株式会社と変更して、今では木製というより合成樹脂の製品をつくっているようです。
この木製の糸巻きは、合成樹脂のボビンが開発された1954年以降につくられたものですが、木製のものも、合成樹脂のものと並行してつくられていたのでしょう。
こちらは細い糸巻きです。
糸は、買ったときから巻いてあったものです。上の糸巻きとは使う目的がちょっと違うようですが、どう使ったものでしょうか?
イギリスの味のある糸巻きに比べると、味もそっけもないのが、日本の紡績会社で使われていた糸巻きです。織物をしているころ、整経(経糸を張ること)のために使っていました。
紡績工場で使わなくなった糸巻きですが、整経機を買ったときに、一緒に100本ほど買ったものです。
私がまっすぐ巻いた糸が残っていますが、イギリスの糸巻きと形が違うのは、糸を綾に巻いていたのかもしれません。
糸巻きには、刻印のあるものが、ちらほらあります。
上は「民(?)成紡大口」、下は「斉藤紡織」と読めます。
そしてこれは、有名な近江絹糸紡績です。
他に、刻印が読み取れる糸巻きに、「ユタカ紡績」、「東海レ」、「大垣紡績」、「尾州紡績」、「近藤紡(櫻井)」などがありました。
かつては、日本国中にたくさんの紡績工場があったことがうかがえます。
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