2012年10月11日木曜日
西アフリカの楽器
1970年代、東京郊外に住んでいたころの写真です。
半地下から居間を撮った写真ですが、右手に見えるのは、西アフリカの楽器、ザイラフォンです。長さの違う堅い板を並べた下に、大きさの違うひょうたん(かんぴょう)の実がぶら下げてあり、板を叩くとひょうたんに共鳴して、もの悲しい、美しい音をたてます。
ガーナに住んでいた時、何度かザイラフォンの演奏を聴く機会がありました。大きな木陰などで誰かが叩きはじめると、周りにいる人たちは、小さな子どもたちでさえステップを踏み、頭に運んでいるものを乗せたままで踊りだします。
ザイラフォンにすっかり惚れ込んでいたところに、家々を回るトレーダー(骨董屋)がかついで持ってきたので、大きくて場所をとるのをものともせずに買ったものです。
帰国してしばらくして、ひょうたんに貼ってある薄い膜が一部破れて、いい音が出なくなっているのに気づきました。
しかたなく、当時のことですから、週刊誌の質問欄で、何を貼ればいいのか、たずねたことがありました。
まだまだアフリカについては知られていない時代でしたが、思いがけず民族音楽の第一人者小泉文夫氏(1927-1983)からお電話をいただき、元々は川魚の浮袋を貼ってあること、ソーセージの袋でも代用できることを教えていただきました。
惜しいことに、民族音楽がこれほどポピュラーになる前に、小泉文夫氏は早世されました。
その後、家を建て替えをするのでしばらく貸して欲しいという、近所の友人に家をたくして、彼女の家が完成してからも、時折空き家を見てもらうことで、私たち家族はタイに行きました。おもな荷物は納戸にしまいましたが、ザイラフォンは分解してしまったかどうか、今となっては覚えていません。
しばらくして、友人から手紙が来ました。その手紙には、
「 楽器の紐は、拭いても拭いてもかびるので、捨てました」
と、書いてありました。
「えぇっ」
毛のついているヤギの革の、長い長い紐は、捨てられてしまったのでした。
それ以来、別の紐も使ってみましたがしっくりこず、せっかく小泉氏に教えていただいたのに、ひょうたんの穴もそのままで、ザイラフォンは今も分解されたままです。
今だったら、ヤギの革も手に入りそうですが、ひょうたんをお互いにくっつかないようにうまくぶら下げられるかどうか、紐の掛け方も忘れてしまいました。
ジャンベは数年前、Nさんの演奏を聴いて、感激して買いました。そして、いつか基本的な叩き方を教えてもいただいたのに、全然叩かず、ただの飾りになっています。
演奏を聴くとすっかりその気になりますが、後が続かないのが困りものです。
それにしても、西アフリカの音楽はすごい!
もうずいぶん前のことですが、小泉文雄さんの民俗音楽講座を受けて、ケチャを体験しました。音楽の先生たちの集まりだったので、素晴らしい大合唱でゾクゾクしました。今でも、その時のリズムを覚えています。直接電話が来るなんて、凄いですね。
返信削除mmerianさん
返信削除ちょっと前のことですが、ゆったりしたものでしたね。個人情報保護法もないし、一般市民の質問を、新聞がただで載せてくれて、電話番号も名前も書いてくれて。しかもまさかの人から電話があって...。
ケチャも素晴らしいですね。4ビートが響き合うと16ビートになるんでしたね。
インドのタブラも好き。自分で叩けるといいのですが、音楽センス皆無で、なんともなりません(笑)。