2012年11月23日金曜日

木目込みの豆雛さま



先日骨董市で、がんこさんのお店をのぞくと、木箱の中にお菓子のように並んだ、木目込みのお雛さまがありました。
丸いでこぼこのないお顔に、鼻だけがちょっと高くなっています。京都のお人形でしょうか?

その日がんこさんは、デッドストックだという、りっぱな木目込みのお雛さまをうずたかく積み上げていました。それらの内裏雛は、なんでももともとは目の飛び出るようなお値段のものだったそうです。
そんなお雛さまに、どうして紛れ込んでいたのか、紛れ込んではいなかったのか、聞きそびれましたが、汚れて傷んだ小さなお雛さまが、一組だけあったのです。
そして、目も飛び出ないお値段なのでした。


「盛大に虫が喰っていたけれど、虫はもう駆除したからだいじょうぶだよ」
と、がんこさん。
木目込み人形の土台は、 桐の粉末に正麩糊(しょうふのり)を混ぜてつくってあります。おいしいのでしょう、お雛さまたちの身体にはいっぱい虫穴が開いていて、台座には喰いカスの粉が散らばっていました。

木喰い虫駆除は、そうたいへんではありません。まだ虫がいるようだったら、霜が降りるような寒い日に外に置いておくか、あるいは冷凍庫の中で一晩置けば、寒さで死にます。
しかし、がんこさんはどうやったのでしょう?しっかり駆除できているようで、気をつけてみているのですが、いまだに新しい喰いカスは見えません。
 

桐の箱は大きさがぴったりでしたが、カビだらけでした。


そこできれいに洗って、板が反っているところは、ボンドをつけて接着しました。
こんな、ちょっとした直しは、けっこう楽しいので、浮き浮きやりました。


右近の桜と左近の橘は、底に紙が貼ってあったので、人形と同じ桐塑ではなく、張り子でしょうか?
橘も桜も、さっと描いてあるけれど、素敵な彩色です。


ひし餅は木片でできていました。小さいから、台をこんな形に切るのはちょっと手間です。

最近は、かなり立派なお雛様でも、雛道具や台座はたいていプラスティックでできています。プラスティックにどんなに豪華な漆を塗ってあっても、自然素材の方が嬉しいものです。
 

さて、肝心のお顔は?
男性陣は、りりしくて、下膨れ具合もいい感じです。


しかし、女性陣は、???
下膨れ過ぎます。


お饅頭顔というか、猪首というか、下半分がつぶれています。
でも、これもご愛嬌でしょうか。

お顔には、普通の眉と、引き眉(本来の眉は剃って、眉より高いところに丸く描いた眉)の両方が描いてありました。
「それっておかしい。どちらかじゃないの?」
と、ネットで画像検索してみてびっくり、ずいぶん沢山の割合で、お雛さまのお顔には、眉と引き眉の両方が描いてあるのですね。

引き眉は平安時代のお化粧法だそうです。平安風には見せたいし、でも引き眉だけだと間抜けな顔になるので、眉と両方描く、ということが、雛人形界で定着したのでしょうか?



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