車で近くを通りかかると、目の端にちらっと葺き替えたばかりの屋根が目に入りました。
「あれっ」
いつも通っている道なのに、ちょっと奥まっている佐久良東雄の生家で、屋根を葺き替えているのに気がつきませんでした。
佐久良東雄は幕末の国学者、たぶん八郷出身者としては一番の有名人です。
車を停めてのぞいてみます。わぁ、屋根が輝いています。
すばらしい!
しっとりした屋根も素敵ですが、葺き替えたばかりの屋根もみごとです。
茅葺屋根は、その昔は30年以上ゆうに持ったのでしょうか。日常的に囲炉裏を焚いていない今は、あまり長持ちしません。
すぐに湿気てきて、草が生えたりコケが生えたりして傷みます。とくに北側が傷みます。
煙り出しの屋根は、古いものをそのまま生かしてあります。
いろいろたずねてみたい気もしますが、ここのおばあちゃんは訪問者にうんざりしていて怖いので、またの機会にします。
ちょうど、来客もあることだし。
おばあちゃんは、
「素敵ですねぇ」
なんて言われるのをとくに嫌がります。住むのは大変ですから。
また、家は昔のままではないとも言います。昔はもっと軒が低かったのだけれど、明治の頃にみんなこぞって高くしたのだそうです。
手で触れそうな、低い軒を想像してみると、今でもバランスがいい家が、もっと素敵だった姿が浮かんできます。
ただ、囲炉裏に火を絶やさないようにしないと、もっと湿気たとは思われますが。
これは長屋門の屋根です。
この軒先を美しく見せる技術も素敵です。これが中庭側で、
外側は組んだ竹を見せずに塞いでいます。
もしかして、風通しをよくするために、中庭側はわざと開けているのでしょうか?
こんど来客のいない時に、たずねてみます。
屋根に使う藁、最近は台風でたおれないように稲の丈を短く改良しているため、なかなか吹き替えるにも昔のような藁がないと聞きます。その吹き替え作業の人でも段々継承が難しい中、いくらかかるんだろうと経費も気になるところです。きっと、吹き替えのシーズンなども決まりがあるんでしょうね。
返信削除hattoさん
返信削除稲わらを使う地方もあるようですが、このあたりでは萱葺きはススキです。昔はあちこちに萱場がありましたか、今はなく、空き地などで育てています。ススキは余り茎が太くならないよう、株が大きくなって曲がったものができないよう、切ったりして管理する必要があります。八郷には茅葺保存会があって、結のような形で冬場に萱を一緒に刈り、順番に葺いたりしています。葺き替えは基本的には冬場の農閑期です。
近くに萱葺き屋根の家を買って、移り住んできた夫婦がいます。冬場暇を見てはススキを刈ってため込んで、納屋じゅうススキだらけになっていても、葺いてみると、小さい一面がやっとだったりします。昔は屋根裏にためたと言いますが、その量の膨大さに驚かされます。
何もしないで、葺き替えてもらうと、このススキを刈る手間賃が最もかかるので、お互いに助け合うと、そう値段がかからず葺き替えられるというわけです。
全部人任せだと、600万円ぐらいかかるらしいです。子どもにはその苦労をさせたくないと銅やトタンをかぶせた人、瓦葺きに建て替えた人いろいろで、茅葺の家はだんだん減っていますが、頑張っている人もいます。
屋根勾配は急ですから、葺き替えも大変ですが、切りそろえるのは、生垣同様、今ではバリカンを使うので、昔よりは仕事は楽なようです。
芒でしたか。こちらのほうが藁より湿気に強いですかね。600萬ですか、、、。現代の並サラリーマンではなかなか出せない金額。家の姿を残すにも色々御苦労があってのことですね。
返信削除hattoさん
返信削除祖母の家は岡山県にあり、納屋だけ藁ぶきでしたが、稲わらではなく小麦藁でした。佐久良邸が結に入っていたかどうか知りませんが、このあたりではいっぺんに葺き替えず、一面だけ葺き替えたりよくするのですが、佐久良邸も今回葺き替えているのは正面だけでした。
もう少し長持ちするといいのですけどね。って、我が家には萱葺きがないので心配することはないのですが(笑)