2013年6月29日土曜日

ひらたパンツ


母のもんぺは、もんぺといいながら断ち方は洋裁ですが、ひらたパンツは正真正銘のもんぺ、和裁の断ち方をしています。
以前の職場で、海外赴任が決まった女子には、ひらたさんが、ちゃっちゃと縫ってプレゼントしてくれたので、誰言うともなく、ひらたパンツの名がつきました。
ひらたさんは、男子校の家庭科の先生で、身長、胴まわりなどをざっと見て、計測もしないで、その人にぴったりのパンツをつくってくださいました。


和裁ですから、畳み方にも無理がありません。


熱帯の、しかも電気がないような田舎に行く時、ジーパンは最悪です。
夕方になれば自分の身体が臭うほど汗をかくのに、ジーパンは足にぴったりくっついて暑いし、手で洗うのが一苦労、二人がかりでも絞るのが大変、おまけにいつまでも乾かず、臭くなったりします。


それに比べると、もんぺは涼しくて、楽で、洗いやすく、すぐ乾くので、重宝この上ありませんでした。
はきつぶしたものもありますが、キンチョー柄と、絣のひらたパンツは、今でも熱帯へ行く日のために大切にとってあります。


ひらたさんは、自分でもつくれるようにと、つくり方を書いた紙までくださいました。


赤は、私が書き足したものです。


型紙をつくったのは私ですが、自分で縫ったのではなく、当時は元気だった母に縫ってもらいました。


絹のもんぺは、皺になりにくく、膝が出ず、軽くて、飛行機の中のような寒いところでは暖かく、暑いところでは身体から離れて涼しく、軽くてかさばらないので、とくに旅には欠かせませでした。


格子の柄は、タイ東北部の男子、しかも長老だけが身につける腰巻布のパターンです。
単色ではなく、二色撚った糸で織っているので、玉虫色に輝きます。


そして模様の方は、タイ東北部の女子、それも小さめの模様ですから、年配の女性用の腰巻布です。
このもんぺにざっくりしたタイの農民服でも着れば、身も心も軽々、快適でした。
行き先がタイ東北部の場合、
「ふん、年より柄のを着ているなぁ」
とか、
「どこだい?この色だとブリラムじゃないだろう?」
などと会話も弾みました。
織り手によって、地域によって、色遣いや柄に違いがあるからです。


今も日常的にはいているのは、インドネシアのイカット(絣)のひらたパンツ。帯にしようかと買ったのにもんぺにしてしまったので、すっかり色褪せましたが、これも手織りですから肌触りがよく、母のもんぺ同様、重宝しています。



2 件のコメント:

  1. キンチョー柄の布ってはじめてみました!こんなのあったんですね。

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  2. hattoさん
    面白いでしょう!いただいた時は飛び上がって喜びました。ひらたさんは、みんなに合計30枚くらいもんぺを縫ってくれたのではなかったかしら。人それぞれで、いろんな模様がありましたが、中でもキンチョー柄、とっても気に入っていました。たしか、ウルトラマンの模様もありました(笑)。

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