2013年7月16日火曜日

クメールダンスの練習着


片づけものをしていたら、カンボジアの浴用布、パッカマーでつくった手提げが出てきました。
「なんだろう?」
すっかり忘れていました。


中から出てきたのは、プノンペンに住んでいた時習っていた、クメール(カンボジア)ダンスの練習着一式でした。

友人に誘われて、日本人生徒四人で習いはじめたクメールダンス。
場所を使わせてくれる友人の仕事の都合、ダンスの先生の都合、自分自身の出張などなどで、月に二回ほどしか集まれませんでした。


はじめてからほどなく練習着をつくっていただき、練習のたびにこれを着ました。
採寸して、身体にぴったりに仕立ててありますが、脇の縫い代が異常に太いので、たぶんあらかじめいろいろな大きさに縫っておいたものを、注文を受けてから、その人に合わせて脇だけ縫って、調節するのだと思います。


練習着とはいえ薄い生地に裏をつけた仕立てで、スパンコールが縫いつけてあります。


下は、サンポットをまといます。
サンポットは伝統衣装で、四ヤードの布を、片端から腰に巻きつけ、残った布を、前でぐるぐるねじって、それを股下から後ろにまわして、お尻の上にベルトで留めます。
サンポットはインドのドーティと同じですから、もともとはインドの文化が、ヒンドゥーとともに東南アジア各地に伝播したものだと思われます。





ちょっとねじり方が足りませんでしたが、後ろ姿はこんな形になります。



ベルトは、金属を型抜きして、好きな長さにひっかけて留められるものを使います。

サンポットはカンボジアでは儀礼には欠かせませんし、普段にも身につけているお年寄りもいます。


結婚式で新郎新婦が舞う時も、身につけます。


そして、新郎の行列の付き添い役の子どもたちも、サンポットを身につけています。


国家行事である新嘗祭では、国王・王妃をはじめとして、参加する男女ともにサンポットを身につけて行進します。

クメールダンスは学校でも教えているようですし、ダンスの学校もいろいろあります。
ただ、カンボジア人と日本人では力量に差があり過ぎるので、日本人だけで習っていたのです。
一時は熱心に習っていましたが、ほどなく、前から習っていた一番上手な人が帰国して抜け、その後一年ほどして、一人が妊娠したのを契機に、とうとう終了してしまいました。

クメールダンスには、4,000種類ほど舞い方があると言います。それなのに、たった一曲でいつまでもてこずっていた私たち、
「全部マスターするには4,000年かかるね」
などと冗談を言い合っていましたが、ついに一曲だけで終わってしまいました。

ダメな生徒たちにはもったいなかった先生は舞の名手で、新年にアンコールワットで舞を奉納するのに選ばれて、新聞に写真が乗るような方でした。
「猫に小判」
とは、このようなことを言うのでしょう。
今となっては懐かしい思い出です。




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