数ヶ所にぶどうを送るため、おおばぶどう園を訪ねました。
八郷には何軒ものぶどう農家がありますが、減農薬で栽培している農家は、そう多くありません。
まず、同じ集落のもといちさんを訪ねたのですが留守でした。夫はせっかち、今日送るとなるとどうしても送ってしまいたいので、その足で別の集落のおおばぶどう園に向かいました。
広いぶどう畑に囲まれた、萱葺き屋根のおおばさんの家は、鄙びた八郷の中でも、ちょっと別世界です。
広大な敷地にご夫婦二人だけで住んでいらっしゃるのに、まあ、なんとよく手入れされていること。土の庭のきれいなこと。芝生の庭のきれいなこと。
草ぼうぼうの我が家が恥ずかしくなります。
このあたりの萱葺き屋根の家は、竹に色を塗ってつくってある棟飾りが特徴です。
手前は土間ですが、瓦屋根を近代になって差しかけたコーナーも素敵です。
独立したお手洗いの向こうの、モチの生垣の奥は納屋、さらにその奥に蔵があります。
その蔵を、おおばさんは昔使っていた道具の展示室にしていらっしゃいます。
綿の種取り機。
おおばさんが子どもの頃は、八郷でもまだ盛んに綿が栽培されていたそうです。私は子ども時代に瀬戸内で育ちましたが、綿の栽培は見たことも聞いたこともありませんでした。
以前、お隣のちよさんが、自分で反物を織ったことがあることや、八郷にも紺屋さんがあったことを話してくれたことがありました。
紡いだ綿を紺屋さんに染めてもらう生活が、八郷にはほんの半世紀前まで残っていたのです。
お茶筒。
お茶はみんな自分でつくっていた、収穫の日は一日がかりで加工するので、みんなで助け合ったというのも、ちよさんから聞いたお話でした。
刈り込みはさみの隣の、棒のついた四角いものは、萱の屋根を葺くときの道具です。
蔵の外に置いてあったのは、縄ない機、使うことはないけれど、使おうと思えば、今でも動くそうです。
飼料チョッパーは、初めて見ました。
手前に丸い刃がついていて、ハンドルを手で回しながら野菜くずを入れると細かく切れて、豚のえさになったそうです。
遠くから八郷にぶどう狩りに行くなら、大場観光ぶどう園がお勧めです。
こちらではトタンで囲い見なくなった屋根ですね、
返信削除中央は煙出しですか、古い家で水と書いたのがありましたが
水神様が守っているとか、、、、。
昭ちゃん
返信削除私も八郷には萱葺き屋根がたくさん残っているのに、福島や岩手ではどうして残っていないんだろうと思っていたところ、先日福島の方が来て、福島では行政(たぶん地方自治体)から、防火の観点からみんなトタンで覆うようにとのお達しがあり、やむなく囲ったという話を聞きました。もっとも、福島でも有名な大内宿は、宿全体に萱葺き屋根が残っています。
八郷では、集落ことごとく焼けたという大火もありましたが、明治期に蚕で儲かって瓦葺にした家も多かったので、そう火事の問題なかったのかもしれません。
でもこの十年、萱が手に入りにくいことと、葺き替えに費用がかかることから、萱葺きを壊して立て替える家がいっぱいありました。あとに、瓦屋根ならまだしも、文化住宅が建つとがっかりです。
「水」は棟飾りによくあります。瓦屋根でも、随所に波頭の飾り瓦を使うのが一般的です。今は日常的に囲炉裏を使っていないので、萱の寿命はとても短いです。
日本でありながら日本でないような、不思議な空気を感じる素敵な住居ですね。モチの生け垣の刈り込み方がいいですね。
返信削除hattoさん
返信削除それが、曲がりくねった道の両側がぶどう畑で、途中まで家が全然見えず、しばらく行くと、やっと萱葺きが見えてくるという、すてきなアプローチになっています。
別世界そのものです。
生垣いいでしょう!これは側面ですが、納屋の正面のはたった一本で、そちらも素敵でした。この八郷ではモチが愛され、あちこちで見事な生垣になっています。分厚いのも薄いのも、それぞれのよさがあります。