2013年9月18日水曜日

自然と共にありたい

数年前に、息子の友人Sくんが結婚を機にマンションを買いました。北向きのお日さまがまったく入らない部屋です。
「えっ、それってダメよ。身体に悪いよ」
「俺たちも、さんざん陽の入る部屋を勧めたんだよ。でも二人とも、空調はあるし、窓が大きくて明るいからいいって」
「不動産屋は家具が傷まないとかなんとか勧めるけど、日光と火は人間の基本だからね」
「まあ、本人たちがいいって言うんだから、これ以上しかたないよ」
そのときは、息子たちとそんな話をしたものでした。

それから数年経った今年、遊びに来ていた息子たちから、Sくんの愛犬「もなか」に腫瘍ができた話を聞きました。
夫婦二人とも働いているので、行き届いた世話ができず、しかたなく、一時的にもなかを実家に預けることになりました。

実家に預けられたもなかは、来る日も来る日も、ひたすら日光浴をしていたそうです。
そして、二ヶ月ほど経つと、腫瘍が完全には消えていないけれど小さくなって、もなかは元気を取り戻しました。そこで、Sくんたちはお日さまの大切さにやっと気づき、マンションを買い替えようとしているのだそうです。

世間では、紫外線の皮膚に与える害ばかりが強調されています。また、オール電化とかで、家の中に火のない生活は、安全性の上で一歩進んだものであることも強調されています。
でもそれってどこか狂っていませんか?生物は日光によって生かされているし、人間は火を手にして、初めて人間になったのです。
そのことを犬に教えてもらったなんて、人間の感性はずいぶん疲弊したと思いました。


息子の来る前に、釜石で復興住宅を手掛けている友人Mさんたちが来ていました。
Mさんが釜石の地元で聞いた話では、その昔、波消しブロックや防波堤がない頃には、人々は津波とともに生きてきたそうです。
漁師町では、津波が来たら、家が流されても仕方ない。そんな気持ちで、家には極力お金を掛けず、漁に便利な海際に密集して建てていました。誰がどう暮らしているか、何でもわかる距離と間柄の町でした。

地震があると、潮が引きます。
子どもたちは潮の引いた浜に出て取り残された魚などを拾いながら、水を追い掛けて沖まで行ったそうです。そして、水がどこまで引いたか、その限界の地点を大人たちに知らせました。

それを聞き、大人たちは限界点の位置で、津波の大きさを予測しました。
ここまでしか潮が引かないなら、津波は大したことはないと判断したり、あそこまで引いたなら、大きい津波が来るから避難しようと判断したりしたそうです。

ところが津波の防波堤ができて、地震による潮の変化はまったく見えなくなりました。
そのため、津波の大きさを知る知恵も失われていったとのことでした。


自然と向き合い、自然の声を聞く。
そのことが、限りなくできにくくなっている現代の世の中ですが、五感を研ぎ澄まして、生物の一員として生きていかない限り、人間の未来はないような気がします。

写真は、息子の連れ合いのお灸初体験の様子です。
丸ごと取る以外は、手術できない場所に筋腫がある彼女は、毎月激しい生理痛に悩まされていますが、お灸は、痛みを軽減するのに少しは役だったようでした。




3 件のコメント:

  1. 春さんおっしゃる通りですね、
    過去何回も体験され語りつがれていますが、、、
    原発でも便利なように低くけずったとか聞きました。
     東京でも同じでしょー
    69年周期説も鳴りをひそめて繁栄しましたからね。
    面白おかしく暮らしていた生活が一瞬にですから。
     夏以外は太陽光が大事ですね、
    冷暖房完備の中で芳香剤の宣伝ばかりで、
    風がぬけませんからね。
    いろいろな条件があるでしょうが、、、

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  2. 直す間がなく送信でした。
    ごめーん

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  3. 昭ちゃん
    知恵が失われるって、恐ろしいことですね。水洗便所しか使えない子どもばかりになって、自分の排せつ物がどこへ行くのか、そしてどこかに行った後どうなるか、誰も知らないのですから。
    家庭の知恵、地域の知恵が失われて、学校の知識だけ残っても、人は生き残れません。
    「虫、怖い!」「土、汚い!」なんて言っている場合じゃない世の中が、そう遠くない未来に来るのではないかと思います。

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