2013年10月23日水曜日

色絵人形

もう一ヶ月以上前になる、古い話です。
近くの骨董市からはいなくなってしまった骨董屋のがんこさんを訪ねて、尾曳稲荷の骨董市に行ったことがありました。
一人で行くつもりでしたが、その日の午後に予定していた友人の来訪が次の日に延びたので、夫も引っ張り出して、一緒に行きました。木陰の爽やかな場所に、しばらくぶりに会う、懐かしいがんこさんがゆったりと店を出していました。

その日はがんこさんの店には、色絵人形がいっぱいでした。
色絵人形は、明治から昭和初期までつくられた、絵つけをしてから焼いた人形です。
ただの人形もありますが、墨を磨るとき使う水滴が多いのが特徴です。
桃太郎、静御前、弁慶、さまざまな恵比寿大黒、着物を着たり洋装したりした当時の風俗人形などなど、それぞれに物語のある人形たちです。


その中から連れ帰った動物、犬の親子と猫の親子の水滴です。

色絵人形はてかてか光っているし、絵つけは下手だし、以前は値段も高かったし、いつもなら一瞥するだけ、そう触手の動くものではありません。ところが、がんこさんの蘊蓄を聞いていると、興味が出てくるのが不思議なところです。


招き猫の水滴は、もっと絵つけのいいもの(左)を一つ持っています。
形がそっくりですが、がんこさんの話では、産地は中部や九州など、複数あったようです。


招き猫の水滴は、日本招猫倶楽部の復刻版も持っています。
挙げた手の上あたりから水が出ます。


この男の子と女の子は、水滴ではなくてただの人形です。
犬抱き娘はよくある、人気のモチーフです。

 
もともとは、土人形(左から二番目)のモチーフだったのでしょうか?
磁器人形にも、セルロイド人形にもなっています。一番左のセルロイドの女の子は、ビニールハウスの仮小屋で暮していたとき、天井に遮光ネットを張っていても陽ざしが強過ぎ、かわいそうにすっかり色あせてしまったものです。


鯛を抱えた男の子は、なんと恵比寿さまだそうです。
その左手に抱いているのは大黒さまの人形という、珍しいものです。手に持った人形は、俵と肩に掛けた袋で大黒さまとわかります。


あまり関心がなかったと言っても、色絵人形の招き猫たちはいくつか家にいます。


この二匹は日本招猫倶楽部の復刻版ですが、絵つけ前、絵つけ後の色絵人形の感じが、よくわかります。
復刻したときのお手本もこんなにきれいに絵つけしてあったのでしょうか?古い猫たちに比べると、とっても丁寧な絵つけです。
もしかしたら、釉薬の種類が今と昔では違うのかもしれません。








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