クリスマス・カードにしようと買って、使わなかった中国の切り絵のカードです。
何枚かはカードとして使ってしまったのですが、残りは惜しくなって、今日まで持っています。
薄い紙を鋭利な刃物で切り抜いて彩色し、台紙に貼っています。
暮しがわかるような素朴な模様の切り絵があれば、京劇ではなく素朴な方を買ったと思いますが、そのときは京劇の模様のカードしか売っていませんでした。これも洗練されていますが、素朴さも十分残しています。
1981年か82年、香港で手に入れたものです。
当時、中国本土ではまだみんな人民服を着ていて、上海にも北京にも、新しい建物など建っていない時代でした。
このカードの裏に書いてある説明によると、中国には専門の切り絵師もいましたが、多くの切り絵は農民がつくっていたようでした。
それにしても、切り絵の技術も優れていますが、構図や色彩も、なかなかのものです。
それぞれ二人ずつの人物を、バランス良く配置してあります。
平面ですが、立体的にさえ見えるのが不思議です。
どうやって、貼ったのでしょう?
糊を切り紙の裏から吹きつけてあるのかもしれませんが、当時は輸入品しかなかっただろう高価な糊が使えたかどうか。薄い紙のことではあるし、見事です。
私ならせっかく切り出しても、貼るときにちぎれたり、撚れたりして、台無しにしてしまいそうです。
髭やまゆ毛の線の、この細かさ。0.3ミリほどでしょうか。気が遠くなりそうです。
目は立体的に見えているので、下にもう一枚紙を重ねているのかと思いましたがそうではなく、白眼とともに目の上を細い線に切り抜くことで立体感を出しています。
波模様なんて、朝飯前なのでしょう。
きれいです。
いまでも中国には、こんな切り絵をつくれる人が、たくさんいるのでしょうか?
中国語はできない上、きっちりとした京劇の知識はないのですが、演目によってはすごいなと感動したことがありますし、女形の最高峰「梅蘭芳」のビデオを北京で買ったことがあります。京劇に詳しい方がご覧になれば何の演目のどの場面というふうにわかるのでしょうね。刀を持っているのは「覇王別姫」でしょうか。若い頃、中国の山東省の奥のほうにろくろ挽きの人形や木彫の青龍刀、泥人形の作者に逢いたくてこわごわ出かけたことが2度ありました。観光化された地域ではなかったのでこんな玩具のためにはるばる来たのか?と不思議がられました。観光土産の民芸品と違って春節に田舎の路地で筵の上に並べられて売られる手作り玩具はまさに本等の郷土玩具だと思いました。
返信削除いまどきさん
返信削除すごい!私も山東省の土人形は香港で買ったのを少々持っていますが、山東省まで行く発想はまったくありませんでした。しかも春節に路上で売られるのをご覧になったのですね。お話を聞くだけで、涎が出てきます(笑)。見たかった!
私が学生の頃から、日本の郷土玩具は子どものものではなくなっていました。祖母あたりが、昔は土人形をお節句にもっこにかついで売りに来たと覚えているくらい、百年ほど前にはなくなっていたのでしょうか?今では山東省でも、顔料の違うものをつくったり、つくるのをやめたりしていることでしょう。
2月25日の「なんでも鑑定団」、楽しみに見させていただきます。何を持っていらっしゃるのかな?わくわくします。