願っていればかなうもの、キーロフのマトリョーシカを手に入れたときはそう思ったものでした。
ロシアのキーロフ地方とノーリンスク地方では、麦わらを貼りつけて装飾したマトリョーシカがつくられています。麦わらを蒸して、切り込みを入れて開き、それをいろいろな形に切り抜いて絵つけをしたマトリョーシカに貼り、ニスを塗って仕上げます。
私が手に入れたマトリョーシカの、一番大きな娘には台座がついていません。ということは、一番目の娘は失われてしまっているということです。
プラトーク(スカーフ)の色が、 大きい方から黄色、黄色、赤、赤、黄色、赤、黄色、黄色となっていることから、一番目の娘は赤いプラトークを巻いていたのではないかと想像します。
三番目の娘のプラトークには、
水玉模様だけではなく、花模様がついていますが、二番目の娘には花模様がついていません。一番目の娘のプラトークにも、きっと花模様がついていたのでしょう。
ぷっくりふくらんだ袖、そして袖の横ラインの麦わらの模様も、キーロフのマトリョーシカの特徴のようです。
切り抜いた麦わらは、形が揃っています。
ナイフで、同じ形に切り取るには手間がかかるものですから、打ち抜きの型を押しつけて部材をつくるのでしょうか。
『マトリョーシカ大図鑑』(沼田元氣著、二見書房、2010年)には、ノーリンスクの工房で、ボトルケースに麦わらを貼っている職人さんの写真が載っています。色を染めて巻いてあるのが麦わらです。右手前に置いてあるのが、いろいろな形に抜き出す型、右奥の職人さんがその型を使って、細かいピースを抜き出しているのではないかと思われますが、違っているかもしれません。
四、五、六番目の娘たちも、麦わらの装飾はそれぞれに違って素敵ですが、五番目の娘から、腕は省略されています。
そして、七、八、九番目の娘たちは、目が点です。
花模様や縁飾りが麦わらでつくられていますが、昔のものより模様は複雑になっていて、色を染めた麦わらも使われています。
こちらはノーリンスクのマトリョーシカの後ろ姿です。麦わらは自然色と赤だけですが色鮮やかです。そして、複雑な模様が高度な技術を示しています。
やはりノーリンスクのもの、麦わらを染めてなくても華やかです。
私は、現代の麦わら細工も、いつか好きになるかもしれませんが、今のところそんなに惹かれません。いかにも麦わらを貼ったとわかる単純な模様の方が好ましく感じます。
よく見ると、一番小さい娘には、猫か子犬の歯型が残っています。
一番大きい娘は、もしかしたら猫か子犬の餌食になったのかもしれません。
前面の模様が全部違うのが面白いです。こういうのもできる、こういう組み合わせも…と色々見せてくれて(一番目気になりますね)。
返信削除この「マトリョーシカ大図鑑」私も見直してみました。
作業してる人が花柄のワンピースやブラウスを着ていることの方が気になったり、
普段着に胸の開いている服を着てるらしいのもわかり、映画の中のドレスだけではないんだ…それにしても薄着だなとか感心したり(^^;)。
ひとつ前のチョコレートもギョッとしました。ポップで現実離れしたチョウチョの中身があまりにリアルで…。
karatさん
返信削除そう言えば、わりと少ない形だけで、いろいろ表現しようとしていますね。ソヴィエト時代だから、単なる流れ作業だったのかもしれませんが、手慣れています。
実は、『マトリョーシカ大図鑑』の作業場の写真は、私も見たときから着ているものが気になっていました。夏とはいえ、こんな恰好で寒くないのかと(笑)。しかもノーリンスクは北の方じゃないですか。ロシアでは冬でも室内はTシャツ一枚で過ごせるそうですが、もし暖房しているとしたら、もっとすごいですね。
蝶ちょもすごいでしょう?食べちゃいましたが(笑)。
その節は本当にお世話になりました。貴重で楽しい時間でした。ありがとうございました。マトリョーシカ、美しく、愛しさにあふれた、伝統的な工芸作品ですね。私が子供の頃、父がロシアに行きお土産に買ってきてくれました。あけるときの手の感触が今でも残っていて、不思議です。兄嫁が気にいったのか、たしか、応接間の棚に飾っていたと思います。私のお人形さんで唯一残っているのが、マトリョーシカさんなんだとブログを拝見して、思いだし、うれしく、せつないような気持ちです。早く再会したくなってます。八郷の春の自然を想像しています。
返信削除よこやませつこさん
返信削除コメントありがとうございます。えっ、お父上がマトリョーシカをお土産に買って来てくれたのですか?なんて素敵なのでしょう!
夫の父が仕事でロシアによく行っていて、私は琥珀のネックレスをもらいました。でも気に入らなくて(笑)、農婦のティーコゼーだったらどんなによかったかと思っていましたが、マトリョーシカだったらもっとよかったですね。父は豪放な人で、何でもよかった、勧められたものを買ったのだと思います(笑)。
今日、だるま森さんたちにお会いしました。残念ながら、手違いで地獄極楽なんちゃらかんちゃらは見ることができませんでしたが、またのお楽しみです。
お返事ありがとうございます。そういえば、琥珀のネックレスは、母や姉へのお土産だったと思いだしました。こっそりと、つけて、遊んだことまで思いだしました。義姉さん、とても、整理好きなんですが、マトリョーシカは残してくれてて、あらためて感謝です。畳の上に並べて、遊んでいました。一番小さい子が、自分だと思っていました。お写真のような美しい絵付けではなく、青、オレンジ、緑、紺などの素朴な簡単な絵でした。再会をしたいと思います。
返信削除よこやませつこさん
返信削除濁った琥珀、透明な琥珀、あの当時(どの当時?笑)、ロシア土産と言えば琥珀でしたね。ホフロマ塗りもあったような。後に夫がロシア土産にホフロマ塗りのボウルと匙を買って来てくれたとき、実用品とは思わず、使わないままで年月が過ぎました。使っていいものだったのですね。
ご実家に残っているマトリョーシカ、素朴で簡単な絵なら、もしかしたら、セルギエフ・パサードでつくられたもの(http://koharu2009.blogspot.jp/2012/07/blog-post_04.html)かもしれません。
再会を楽しんでくださいね。