2014年6月15日日曜日

アルマイト


ずっと前に、母から「捨てて」と預かったアルマイトのお鍋、まだ捨てないで持っています。
1960年代まで、日本にはどこをさがしてもこんなお鍋しかありませんでした。

アメリカに行ったときはびっくりしました。
アラビア(フィンランド)、フィネル(フィンランド)、ダンスク(デンマーク)、コクムス(スウェーデン)などの琺瑯のお鍋を素敵に展示しているお店が近くにあって、通りかかるとのぞかずにはいられないほどでした。そんなお鍋に夢中になり、ぺこぺこしたアルマイトのお鍋のことなどは忘れ果てました。

でも、見るとなんとなく懐かしいのは何故?
私はこのお鍋でつくった煮物やおでんを食べて大きくなったのでしょうか?


気をつけて持って行ったはずなのに、アルマイトの弁当箱が傾いて、ノートや教科書がこぼれた煮汁に染まることがありました。
我慢できるのは紙に染み込んだ色ですが、我慢できないのは匂いです。拭いても拭いても、いつまでも匂いました。
憎らしい弁当箱。

でも、今となると懐かしいのは何故?


お弁当箱として使う機会はありませんが、目につくところに置いてあってもいやじゃありません。


安っぽい、ガチャガチャ音がしてすぐへこむ、アルマイトのお皿で子どもたちに給食を食べさすなんて、大人はいったい何を考えていたのでしょうか?
安くて、軽くて、割れなければいいと思ったのでしょう。
こんなお皿では、食べるものも味気ないし、ものを大切にする心も生まれないし、なにより美的感覚が育ちようがありません。

1960年代に、照明の勉強にフィンランドに渡った石井幹子さんは、何が印象的だったかと聞かれて、
「どこの街角のお店でも、松屋のグッドデザインコーナーに置いてあるようなものしか置いてないのに驚きました。汚いものは売っていないのです」
と答えていました。
当時も(そしてたぶん今も)、日本には美しくないものが溢れかえっていました。

そんな給食のお皿ですが、なんとなく懐かしいのは何故?

食事の下ごしらえに重宝しながら、
「どう見ても安っぽいねぇ」
と、お皿に悪口を投げかけています。







6 件のコメント:

  1.  懐かしいニュームの弁当箱いつも梅干をいれるので蓋の当たる部分は腐食してわかります。
    アルマイト加工は高いですからね。

     ストーブの周りにはカギ型の棚があり何段も裸の弁当箱を並べてありました。
    昼近くになるといろいろな匂いがミックスして教室中に充満します。

     露地裏の商売は「いかけ屋」ですね、
    穴のあいた鍋類は上手に刳り抜き鋲でかしめます。
     職人の小父さんたちは見ている子供たち相手にいろいろ話しをしてくれました。
     春さん
    鍋の話から脱線した思い出が懐かしいです。

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  2. 昭ちゃん
    えっ、これはアルマイトとは言わないのですか?根本的な間違いだ!(笑)ニュームってアルミニュームのニュームですよね。今の今まで銀色がアルミ、金色はアルマイトと思いこんでいました。やれやれ。
    家には父などが使った弁当箱がいくつもあって、やはり料理の下ごしらえに使われていました。いかけ屋さんの話は聞いたことがあるけれどお目にかかったことはありません。薬缶も修理していたのでしょう?
    当時は鍋薬缶に穴が開きやすかったのか、それとも本当に長い間、擦り切れるまで使ったのか、きっと両方だったのでしょうね。
    蓋ですが、鉄鋲を打った鉄ビンが家にあって、それは鋲が並んでいて大好きでした。

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  3.  ちょっと実物をみないと、、、。
    私の世代(昭和12・3年代)のニュームの弁当箱は上蓋に斜めに箸入れがついていましたからその分ご飯が斜めにへこみます。
    (箸もニュームです)
    アルマイト加工は少し黄色です。
     軍需工場はアルマイト加工の食器で、軍隊は期間が短いのであまり記憶にありません。
     戦後のニューム製品は硬くなりましたね、
    昔の鍋類はほとんどアルミでしたから底はでこぼこです。
     検索したら詳細がわかるとおもいますよ。 

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  4. 昭ちゃん
    結局、アルミとアルマイトとの違いが、よくわかりませんでした(笑)。今はアルミと言われるものは全部アルマイト加工してあるそうです。もう酸にも問題ないのかな?でも、ジャムを煮たりするときは、アルミのお鍋で煮ないのは常識ですよね。
    盥などのブリキ製品は、今でも日本製はぺこぺこです。軽いのはいいんだけれど、「薄くできる」という技術を見せているのか、材料をケチっているのか?たぶん材料をケチっているのだと思います(笑)。

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  5. 今は見なくなりましたが昔の灰皿はニュームでしたから手で曲がりました。
    最近までステンレス製(18-8ステン)で硬質です。
    外見ではわかりませんね。

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  6. 昭ちゃん
    そんな灰皿がどこにでもありましたね。アルミとステンレスとどっちが好きかと言われると、迷います。まあ、用途用途ですからね。今では使っているお鍋のほとんどがステンレスですが、昔はステンレスのお鍋はそう好きじゃありませんでした。アルミの打ち出し鍋もひところもてはやされましたが、見ませんね(私が見ないだけ?)。鉄が好きですがフライパンや中華鍋以外難しいです。以前、鉄の田舎鍋で鍋ものをして、残りを一晩置いたら真黒になりました(笑)。
    そういえば、家にはテフロン加工、今は一つもありませんよ。

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