食品庫には、しばらく前から、「ドアをつけるまでの仮の間仕切り」として布をたらしていましたが、それ以前は、長いこと仕切りなしでした。
仕切りなしでも、そう不都合は感じませんでしたが、床が散らかったりしているときは、ちょっと布がかかっていると気になりません。今も、食品庫の床にはジャガイモの箱が並んでいます。
今回、ただの布より一歩進んだのれんをつくったことで、とうとう将来的にも扉をつくらないで済ませてしまうことになる気配、大です。
脱色した麻の蚊帳はきれいな生成り色です。
ところどころ、脱色しきれずに残った濃い緑の「蚊帳色」が残っていますが、それも素敵です。
ところで、蚊帳は昔、どうして暗緑色に染められていたのでしょう?蚊除けの藍に、もう一つ何か色を足していたのでしょうか?
祖母の家にはいくつかの緑の蚊帳と、白くて裾にいくにしたがって水色のぼかしになっている蚊帳がありました。ぼかしの蚊帳はお客さん用でしたが、大きくなって両親と住むようになった私が夏休みに訪ねるようになると、祖母がその蚊帳をつってくれました。
ちなみに、長じてからタイの農村でよく一人用の蚊帳で寝ましたが、たいてい白い蚊帳でした。
どこの市場でも売っていましたから、麻製ではなく、化学繊維製だったのでしょう。
その蚊帳生地は、「いるる」で見たのれんを真似て、切らずに別布をはさみました。
将来、解いてスカーフにしたりすることはないと思いますが、布を切らないで済ませるというのは、精神衛生上とてもいいものです。
もっとも、はさむ布は、細く切らざるを得ません。共布と、古い麻の着物の布を使いました。
この浅黄色の「波に千鳥」の着物地は、30年以上前に、京都で知人にいただいきました。
織りものに携わっていた彼は、東寺の骨董市で、外国人に古い布を買われるのが悔しくて、手あたり次第買っていたのですが、資料的に要らない布も買ってしまったということで、整理したときにたくさんいただいてしまったのです。
「受け」は、市販のフックを叩いてつぶしました。
細くつぶしたフックに、ステンレスパイプを引っかけます。
のれんの完成です。
左右別々に、考えもせずつくったのに、いやだ、線がつながって見えるところがいっぱいあります。
これまで、木枠(もちろん自分で取りつけたものです)の上に、布を押しピンで留めていたのですが、木枠より引っこませることによって奥行きも出て、ちょっとすっきりしました。
冬は涼しそう過ぎるかもしれませんが、一枚の布より出入りしやすく、いい具合です。
母屋で、残りの「懸案の扉」は脱衣場だけになりました。
今は、客人があると布を掛けますが、透けない布を使って、三枚ずらして重ねたらどうかしらと考えているところです。
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