2015年3月9日月曜日

負傷した金太郎


昨年のこと、展示室にお客さんを案内して、話に気を取られていたら、不安定に立てかけていた竹に躓き、その長い竹が倒れて、棚の下の方に置いていた熊乗り金太郎を直撃しました。
「あぁぁ」
そのまま、触りもせず、見て見ぬふりをすること数ヶ月。飾り棚の掃除をしながら、やっぱり金太郎は捨ててしまおうと、ようやく決心しました。


それにしても、かわいい金太郎です。
美少年というより、そこいらにいた、親の手伝いなんかよくする、素直で、ちょっとかすれた大きな声の子ども、という印象です。


そして熊もかわいい。
金太郎の足は欠けましたが、金太郎にも熊にも致命的な損傷はありません。


裏返してみると、底に、「昭和五(?)年、三玉、塚本マス(オフ)様」と書いてありました。
赤ちゃんの初節句に、塚本さんからいただいたもののようです。

この金太郎は、どうして私の手元にあるのか?
なにせ、熊乗り金太郎(略して熊金)は、大好きなテーマの一つです。ついつい熊金を見たら放っておけないのですが、どうやってきたのか、あまり記憶にないものです。
大きくて、高さは28センチもあります。


粉々になった土人形は始末に悪いものです。
欠けの具合で、パズルのように、はめる順番ができてしまいますが、接着剤をつけてすぐにはくっつかないので、一度に複数つなぐのは難しい。しかも最後のピースには、内側に指が入らないので、中に落ちてしまったら、始末に負えません。
「まぁ、捨てる気だから、失敗してもともとか」

まったく直す気がなかったのですが、接着剤でくっつけてみることにしました。表にだけ接着剤が出ないようにして、最後は簡易粘土などであらかじめ内側を補強して、「受け」をつくっておくという手があるかもしれません。


「ゆっくり、ゆっくり」
自分に言い聞かせながら、くっつくまで左手で握りっぱなしで、右手は別のことをしています。
「何をやってんだ?」
「.....」
大きなピースどうしをくっつけ、金太郎の足もくっつけました。

ところがもう問題が。
足の方を少々内側で削らないと、ピースどうしをくっつけたものがはまりません。二日三日でできるかとタカをくくっていましたが、長期戦になりそうです。
雨でも降ったらじっくりやすりを掛けて、次のステップに進むつもりです。焦ってやすりを掛けると、必ずもっと欠いてしまいますから。






2 件のコメント:

  1. 私には根気がないなー
    発掘品の復元をする彼女がおります。
    現場ごとにまとめた土器の破片を復元しますが面ではなく点の接点ですからね、
     私も顕微鏡(20倍)の中で化石のクリーニングをしますが手が出ませんでした。

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  2. 昭ちゃん
    白い網目の中に、ところどころ本物の土器のかけらが埋まっている。博物館などで見ますが、私にも到底できません。イライラしているうちに、これまで微かな道筋が見えていたところまで、ごちゃごちゃになったりしないのか?あぁ、考えただけでイライラします(笑)。
    でも壊したものの場合、ピースは、はまることは決まっているので(最終的にははみ出てしまいそうですが)、なんとか汚くやっつけることができるかもしれません。幸い(?)雨が降ってきたので、外作業をやめたところなので、一息ついたらやすりを取ってきます。
    考古学とか、化石の発掘とか、ぱきっとすぐ答えが出ないものに長年携わっている人を、尊敬してしまいます。

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