2015年5月9日土曜日
電子書籍派?それとも紙の本派?
連休の益子の陶器市に行ったおり、古道具と古本を商っているお店、「内町工場」に寄ると、瀬川康男の絵本がありました。
『俊寛、絵巻平家物語(三)、木下順二文、瀬川康男絵、ほるぷ社、1985年』と、やはり絵巻平家物語の『文覚(もんがく)、(四)』、『清盛、(五)』という、絵巻平家物語九巻のうちの三巻でした。
「本は増えると邪魔だぞ」
と、理性が囁きましたが、
「あとで、買っておけばよかったと思うよ」
と囁く煩悩もいて、買ってしまいました。
いったい、何歳くらいの読者を対象につくった絵本だったのでしょう。1980年代と言えば、絵本はまだ全盛期でしたから、いろいろ、贅沢な試みができた時代だったのでしょう。
読んでみると、木下順二の簡潔な文と瀬川康男の絵力が、びしびしと伝わってきました。
読み応えがあり、見ごたえもあり、過去の時代の平家物語がぐっと身近にもなりました。
でも、この本を読んでおもしろいと感じられるのは、私がそれなりに年とっていて、しかも瀬川康男が好きだから言えることかもしれません。
発売された時代には、小さな子どもたちも、この本を読んだのでしょうか?それぞれ5刷を重ねています。
比較的絵本はふんだんにあった我が家の息子たちは、子ども時代に、『おしゃべりなたまごやき』や『とこちゃんはどこ』に熱中するほどには、瀬川康男の絵本には、そうは親しみませんでした。
瀬川康男の絵で、何度も開いて楽しんだのは、『ことばあそびうた』(谷川俊太郎詩、瀬川康男絵、福音館書店、1973年)くらいのものだったでしょうか。
さて、下の息子が、連休に遊びに来て、
「本は電子書籍にしたら?タブレットで布団の中でも読めるし、字も拡大できるし、本棚が要らないから便利だし、検索が簡単だよ」
と言います。
Amazonでも、紙の本ではなく、最近はKindle版が増えている気がしますが、電子書籍を買うことには、あまり気が進みません。
ときおり本棚に、長い間忘れていた本を見つけて驚くこともありますが、たいていの蔵書はどこに何があるか覚えていて、わりと頻繁に見返したり、読み返したりします。読み返さないまでも、掃除がてら確認したり、並べ替えたりしています。
文庫など、昔の本は字が小さいので、新しいものに買い替えているのもあります。
上の息子が以前、
「本棚は飾りと思えばいいんだよ」
と言いました。
「読む本は電子書籍で読んで、本棚には人に見せたいような本を、インテリアとして置いたらいい」
と。
さあ、どうでしょう。
原稿用紙にペンで書くと言っている、ご高齢の作家には、コンピュータで書けば楽なのにと同情する私ですが、自分が読む本となると、コンピュータで読むのはまっぴらごめん、コンピュータは本とは別ものだと思ってしまいます。
ただ、雑誌だと話が別です。
「雑誌は、一冊にいろいろな記事がちょこちょこ載っていて、欲しい記事をさがしても見つかり難いから、電子で見られたら嬉しいかもしれないね」
「どんな雑誌?」
「 まぁ、『季刊銀花』だね」
コンピュータでしばらく調べていた息子、
「そんなサービスはないなぁ」
そうでしょう。そうでしょう。
『季刊銀花』はあるとき突然に発行終了になってしまったくらいですから、そんな余裕があるとは到底思えません。
単行本はともかく、雑誌は場所ふさぎです。
索引がついていても、ほとんど見返せないけれど、情報が詰まっているので、捨てるわけにもいきません。
『季刊銀花』と『季刊民族学』の二つの雑誌が電子書籍化したら、私はもしかしたら、あっというまに電子書籍派になってしまうかもしれません。
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