2015年6月12日金曜日

天秤棒


階段の踊り場に置いてある、ロシアの水汲み人形です。
身体から頭まで一体になっている轆轤細工、それに腕とバケツがついていて、焼きごてで顔などが描いてあります。
階段を上り下りするとき、毎日のように目にしていて、ある日はたと、
「こりゃたいへんだ!」
と思ってしまいました。こんな姿で水を汲んだら重くて仕方ありません。
娘は、水を満たしたバケツを、両側に軽々と高く揚げていますが、高く揚げるどころか、手に持って運ぶことだって、いくら屈強なロシア女性でも、たいへんな重労働です。


やはり、ディムカヴァ土人形のように、天秤棒を使った方が賢明です。

『大きな森の小さな家』(ローラ・インガルス著、福音館書店、1972年)の挿絵

 西洋の天秤棒はアジアの天秤棒と違って、首にまわして首に力を受けるものです。
 
同上

上の写真二つは、カエデから樹液を取り、それを運んでメープルシロップをつくっている図ですが、首に力を受けるのはどんな感じがするのでしょう。

鈴木春信『水売り』ウィキペディアより

アジアの天秤棒は片方の肩に力を受け、痛くなったら肩を替えます。

地球上のどんな地域でも、人は重くて大きいものを、もともとは頭に乗せたり、背中に背負ったりして運んできました。
どうやら片方の肩に担ぐ天秤棒のルーツは中国で、天秤棒は西はビルマ、東は日本まで、中国文化の影響を受けた地域へと広がったようです。


ウィキペディアから拝借したこの写真、ポーランドのポズナンにある古い市場の広場に建つ噴水の上部装飾で、西洋の天秤棒を担いで農業用水を運ぶ女性をかたどっています。
ヨーロッパの両肩の天秤棒、いったいどこからはじまったのでしょうか?


日本の天秤棒は木でできていて、あまりしなりませんが、タイなど東南アジアの天秤棒は竹でできていて、とてもよくしなります。
よくしなる天秤棒は、しならない天秤棒より、さらに腰でうまくリズムを取りながら歩かなくてはなりませんが、呼吸さえ合えば、水も全然こぼれません。
さて、どっちが使いやすいのでしょう?

それに比べると、西洋のしならなさそうな天秤棒で液体を運ぶのはどんな具合でしょうか?
やはり腰の使い方だと思いますが、機会があれば担いでみたいところです。






2 件のコメント:

  1. karat2015年6月12日 9:34

    おはようございます。
    考えたこともなかったですが、首から両肩にかける天秤棒があるのですね。ディムコボ人形みたいな。
    うちのマトリョーシカで確認したら(水汲みのマトリョーシカが一組あって)、片方の肩に湾曲した天秤棒と水桶をかけていました。まあマトリョーシカですから、そういう風に描いたのかなと思いますが。
    メープルのおじさんは首から両肩にかけてバランス良さそうですが、鈴木春信の天秤棒は素人ではバランスをとるのが難しそう。
    それにしてもポーランドの水汲みの像は如何にもしんどそうで、腰に来そうなポーズです。
    水汲みは大変なんだなと、蛇口をひねると水が出てくるありがたみを思いました。

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  2. karatさん
    西洋の天秤棒って、西洋の他の道具と同じで、つくるのは面倒でも、誰でも同じ程度に使えるという感じがあるでしょうか。それに比べると、一本棒の天秤棒は、簡単な道具ですが、コツみたいなのを掴んだ人、掴まない人では疲れ方が全然違うかもしれません。
    タイの東北部の村では、飲料水の池は、生活雑排水や家畜の糞尿が入らないように村から離れて掘ってあり、私がタイの田舎に行きはじめた1980年代は、天秤棒の前後にバケツをぶら下げて家まで運んでいました。泊めてもらうときなど、水汲みを手伝うのですが、水をこぼさないように歩けたとしても、何往復かするうちに肩が真っ赤にはれあがって痛くなり、次の日くらいまでひりひりしたものでした。
    そんな村でも、90年代にはリヤカーに20リットル入りのポリ容器をいくつも積んで運ぶようになり、天秤棒はすっかり廃れてしまいました。バンコクなど都会の行商人や屋台の人たちも天秤棒を担いでいましたが、いまは手押し車の方が多いでしょうね。もう、消えているかもしれません。
    一度は西洋の天秤棒も見て、担いでみたいものです。もっとも背骨の圧迫骨折で5キロ以上のものは持てない私ですが(笑)。

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