二つ目に行ったヴァイキングの遺跡には、二つの部分がありました。
一つは当時の農家を再現した野外博物館、そしてもう一つは円形要塞の遺跡跡でした。
当時(800-1050年)の農家を再現した家の中には、ヴァイキング時代の生活が満載されていました。
家畜小屋。
家畜小屋と一体になった、農家の居間です。
これだけの暖炉で十分な暖はとれたでしょうか?
納屋に置いてある農具。
細い枝を編んだ壁や塀が随所に見られましたが、竹のない地方ならではの方法で、しっくい壁がはがれたその下にも、枝を組んだ下地が見えました。
日本で言えば、土壁の下の竹小舞といったところです。
屋外の料理窯。
この博物館では、毎日のようにデモンストレーションが行われているそうですが、その日も当時のパンを焼いている人たちがいました。
パン生地は小さくちぎり、平らに伸ばして、焚き火の上で焼きます。
「食べてみて。これから、アメリカ人の50人の団体さんが来るので忙しくってお構いできないけど」
薄いパンは油けがなくて、チャパティのような味でした。
「お鍋では何を煮ているの?染めものかな?」
「そう。今日は黄色を染めているの」
「ほらこの草よ」
と見せてくれたのは、その日の朝、砂地の道端で見かけた草でした。
「この草も染料?」
「そうよ。明日はこの草で、茶色く染めるの」
なんだか、とっても楽しそうでした。
小さな小屋の中には、鍛冶屋さんもいました。
左手には、大きなふいごが見えます。
素敵な形のものたちができていきます。
小さなナイフを買いました。
鍛冶屋さんの扉のかんぬき。
素焼のお椀などをつくる、半地下の小屋と、机や椅子。
これは、桶にする木をはさんで削ったり、お椀の外側を削ったりする「馬」に違いありません。
円形要塞へと入っていく小路の傍らに、円形要塞の中に建っていたヴァイキングの、樫の木の家が再現してありました。
屋根は板葺きです。
継ぎ手が、日本の組み方とは違って、興味津々です。
その家の外で、デモンストレーション中の男性がいました。
子どもたちが持って遊んでも安全な、ゴムの刃の、ヴァイキング・スタイルの斧や刀をつくっているのです。
男性の周りには、展示物や道具一式を運ぶために、背負い籠、革袋、木箱など、いろんなものが置いてありました。
ほとんどは彼がつくったものです。
白樺の皮で編んだショルダー・バッグもありました。
デンマークで見た、唯一の白樺細工です。
腰掛けにしていた箱の中まで見せてもらいました。
桶せんなど、興味深い道具の数々も、金属部分を鍛冶屋さんにつくってもらって、柄などは自分でつくったとのことでした。
彼って、いったい何者?これが職業?それともボランティア?
それにしても、なんて楽しい人生を送っているのでしょう。
円形要塞は、最初に行った円形要塞よりずっと小ぶりでした。
置いた石が住居跡を示しています。
この要塞の中には、円を四つに割って、それに四棟ずつ、合計16棟の家が建っていました。
時間がのんびりと流れています。
P.S
ヴァイキングの家の模型の写真を載せておきます。
樫の木の家は面白い形ですね。屋根も真っ直ぐじゃないし、周りの壁を支えるつっかえ棒のようなものがあるのも見たことないです。全体が一色というのも不思議な印象を受けます。
返信削除hiyocoさん
返信削除こんな家が16棟、あるいはもっとたくさん建っていたなんて壮観だったでしょうね。もっともデンマークは平らな国ですから、山に登って鳥瞰することはできなかったので、ただ柱ばかり目立っていたかもしれません(笑)。壁の真ん中あたりを膨らましているのは、何か大きく見せるための工夫のようでした。わかり易いので、模型の写真を載せておきますね。
王とか船で海に出て行く人たちの家で、一般農民は土壁の家に住んでいたようです。