2015年9月19日土曜日

『かくかくしかじか』

先週の月曜日は、雨が降ったりやんだりしていました。
翌火曜日から来る、息子たち一行の合宿に合わせて、掃除は済ませたし、お天気のよかった日にお布団も干したし、もう懸案事項は何も残っていませんでした。
その日は、一日のんびりするつもりでいたら、息子から電話がかかってきました。
「雨降っているし、今日これから行くわ」
ん?雨と日程が早まることの関係がわかりませんが、
「そう。わかった」
と答えるしかありません。
一行は七人で、もうレンタカーも借りて、出発するばかりになっているようでした。
とすると、火曜日から土曜日まで四泊する予定は、五泊になるのかもしれません。

そうこうしているうちに、町内のAさんから電話がありました。
前から家を見に来たいと言っていたのですが、今日、これからどうだろうかと言うのです。雨で、農作業の手が空いたのかもしれません。
「いいですよ」
と、Aさんご夫婦をお迎えしました。

Aさん夫妻が帰り、お昼を済ませたころ、庭に人影が見えました。
「息子たち、もう着いたのかしら?」
と見ると、顔見知りのKさんご夫婦と、もう一組のお会いしたことのないご夫婦でした。
「突然すみません。時間ができたもので寄りました」
「どうぞ、どうぞ。でも、まもなく息子たちが来るんです」
その日は雨で、居間から見える山並みも何も見えませんでした。
それなのに、Kさんたち妙に落ち着いてしまって、息子たちが到着してからも、しばらくは腰を上げませんでした。
というわけで、のんびりする予定だった先週の月曜日は、朝から晩まで大忙しになってしまいました。

息子たち一行の七人(日帰りや短い宿泊の人もいて、合計は十人)の滞在中は、なんだかんだで落ち着かないものでした。
ほとんど雨が降っていたので、彼らが出かけない日や朝夕は、家の中は人で溢れかえっていました。

さて、そんな日々も過ぎ、息子たち一行が帰る日が来ました。
みんな車の周りに集まっているというのに、お風呂場をのぞいたら、髭そりやらシャンプーやら置いたままです。
「まだ、荷物が残っているよ」
と、あわてて呼び返します。
「はぁい」
「あらっ、ここに、漫画もあるわ」
「それは置いて行きます」
「ん?そうなの」

どうして、置いて行くのかわからないまま、一行が帰っても、シーツや夏掛けの洗濯などで、忙しかった私は、数日は、漫画本のことは忘れていました。

さて一段落、やっと漫画を片づけようとして、初めて題名を見ました。


『かくかくしかじか』(東村アキコ著、集英社、2012-15)でした。
東村アキコ?聞いたこともない名前です。

開いてみると、女子高校生である著者が、美大への受験勉強のために絵画熟を訪れ、一風変わった先生に出会い、その先生の直球に驚きつつ、先生を自分のバックボーンとして、漫画家になっていくという物語でした。


呑気で、しかも漫画家になりたいことを先生には言いだせない女の子と、絵を描くことがすべてと思っている先生とは、完全にずれているのですが、その女の子は漫画家として成功を収めてから、改めて先生の自分に与えた影響の大きさに気がつきます。

おもしろく読み終わりました。


それにしても、これは誰の漫画で、我が家に置いて行くと決めたのは誰なのでしょう?
誰も何も言わなかったし、私も、これから聞つつもりもありませんが。







4 件のコメント:

  1. え~、そんな大人数のご飯を春さんが用意したのですか~?お布団は何組あるんですか~?私なら頭爆発します。まんが5冊まとめて置いていったんですね。不思議です。

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  2. hiyocoさん
    頭爆発するでしょう?去年は二泊でした。今年四泊と聞いて悩んでいましたが、直前に風邪をひき、それを契機に「料理は自分たちでせい」と言い渡しました。当番制にしたというのに、働いている女の子たちは二人だけ、「私料理できないっす」というのが一番よく食べて、たまに手伝うと、幹から外した生の枝豆を入れるのに、大切な150年前の鉢を出してきたりして(笑)、いろいろありました。
    お布団は、夫の両親のと私の両親のとが全部きていて、敷布団だけなら10枚くらいありますが、冬だと掛け布団が足りないでしょうね。原発事故のとき夫が買った寝袋も6枚あります。落ち着いて考えてみれば、息子たち夫婦と私たち夫婦の寝袋だけあってどうするの?息子の連れ合いたちの家族はどうするの?みんなでそろって、どうやってどこへ逃げるの?といろいろ疑問のある寝袋で(笑)、一度も使ったことがありません。
    ところで、我が家には仮設ですがトイレつきのゲストハウスもあります。他の人たちは喜んでそこに泊るのに、なぜか息子一行は母屋にいたがって、展示室や居間にまで布団を敷いて寝ていました。トイレ一つで7人はきついのにね。
    昔、タイ農村に泊めてもらったとき、一緒に行ってくれた人類学専攻の女子大生から、「水浴びはバケツ一杯だけね」と言われました。正直、バケツ一杯で髪も洗うとなると工夫が要りましたが、なんとか貴重な水を使わないようマスターして、以後とても役に立ちました。ところが今回泊った連中、30分ぐらいシャワーを出しっぱなしにするし、トイレットペーパーは詰まるんじゃないかと思うくらい使うし(ガラガラと引き出す音が聞こえる)、台所の洗剤は私が一ヶ月以上で使う分量を、なんと4日で使い切りました。唖然(笑)。
    うーん、将来、コンビニにものがないという時代が来たらどうするんだろう?それより、そんな彼女たちでも飢えたりしないで、のんきに食べられているというのが不思議でした。

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  3. あ、春さん
     オレもその感覚!
     息子たちのシャワーや風呂の水音、それにペーパーを使うカラカラ音、木造の家では響きます。(笑)
     だからそんなの聞きたくないので、息子が風呂はいる前に寝るようにしています。

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  4. Shigeさん
    若い頃はあまり周りのことにまで気が回りませんが、それでも状況が読めることは大切ですね。たくさんいるんだから、お風呂時間はいつもより短くしようとか。
    一歩引いて、周りの状況を読む。みんながそんなになって欲しいです。
    Shigeさんの息子さんは、Shigeさんの息子さんだから、外で気を使っている分、家で発散させているんじゃないですか(笑)。

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