2015年11月25日水曜日

半隠居の働きもの


かつては、どの家庭でも栓抜きの一つや二つ転がっていた時代がありました。
カルピス、サイダーやコーラなどの炭酸飲料を開けるときの必需品。そしてみんなでビールを飲むときは、
「栓抜き、栓抜き」
と、待ちきれないで騒いだものでした。中には、栓抜きが見当たらないと、もう一本のビールビンで器用に蓋を開ける人がいたし、自分の歯で開けてしまうつわものもいました。

缶ビールが発売されてしばらくは、環境に負荷をかけたくないからと、ビンビールにこだわっていました。
しかし、ビンビールは一人で飲むには多過ぎたり、あと少し飲みたいときに、新しいビンを開けたものかどうか迷ったり、思い切って開けると残りが無駄になったり、ケースで運ぶには重かったり、などなどの面倒さがあり、缶ビールに移行することに抗い切れなかったのは、仕方なかったことなのでしょう。

それでも、地ビールなど、今でもときおり栓抜きを必要とするビールを手にすることもあります。
というわけで、我が家の栓抜きたちも、一年に何回かは出番があるというものです。


木の鳥は、私が持っていたもの、南部鉄の鳥は、夫の母が持っていたものです。
どちらも、銀座松屋のクラフト売り場あたりに並んでいたような気がします。


木の鳥は、丸くドリルで穴を開けたところに、栓抜き具をうまくはめ込んでいます。
こんな部品が一般的に手に入ったのか、それとも特注だったのか、まだ木工作家さんの少ない時代、ネジを簡単に締めるインパクトドライバーもない時代でした。


南部鉄の鳥の方は、尾と足で栓を抜くのですが、くちばしでも抜けるのかな?王冠に大小はないと思うのですが。


ビールケースのミニチュアは、ドイツの栓抜きです。


これも我が家に古くからありましたが、木の鳥に比べると、そう働きものではありませんでした。
というのも、栓抜きが必要なとき、これが栓抜きであることを忘れて、ついつい他の栓抜きに手が伸びてしまうからでした。


栓抜きの定番形のものは、新しいものです。インド雑貨のネットショップ、ティラキタで、何か買ったときにおまけにもらったものですが、手づくり感に溢れていて、気に入っています。


飲み物を売るお店の壁に取りつけてあった、「Coka Cola」と陽刻のあった鋳物の栓抜き。どこにでもあったビール会社の名前の入った栓抜き。実家にあった紛失防止の巨大は栓抜き。
みんなみんな消えてしまいました。


コルク抜きも、栓抜きほどではありませんが、このごろあまり出番がありません。
いつも買うような安いワインは、どれもねじり式のキャップです。


世の中、いろいろなものを後ろに残しながら、ひたひたと「簡便」になっています。






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