2016年4月28日木曜日

少数民族の女性たちの手仕事


kuskusさんがブログに書いていた、笠間市の地域おこし協力隊、かさまぁとわ主催の、「少数民族衣装展2」を見に、笠間駅前の、「まちづくりcafe上州屋」に行ってきました。

上州屋は5年ほど前に空き家になり、それをかさまぁとわのメンバーたちが活用していて、一階がカフェ、二階の五部屋では、不定期にいろいろな展示をしています。
民族衣装展(梅田美知子さんのコレクション)は、昨年の九月に次いで二度目だそうです。

衣装はどれも、ため息が出るような手仕事でした。
綿を育てて紡ぐという糸づくりからはじめているものもあり、それを染め、刺繍をし、刺し子をし、アップリケをし、カットワークを施してと、一針一針に、思いを込めているものばかりでした。


とくに、赤ちゃんの負ぶい紐は圧巻でした。
大人たちの服に刺繍やアップリケを施すときも魔除けの意味がありますが、5歳までの乳幼児に死亡率が高いことから、負ぶい紐には特に念入りに、悪霊が入ってこないように刺繍やアップリケで埋め尽くしているものが多いのです。


この布は、ちょっと見にはプリントにしか見えませんが、常備されている虫メガネでのぞくと、


やっとクロスステッチだとわかります。
針目は、1ミリにも満たない細かなものです。


これも負ぶい紐の一つ、カットワークや刺繍の組み合わせでしょうか。


会場が畳の部屋ということがあり、展示の仕方は、なかなか面白いものでした。
丸いのは、どれもプリーツスカートです。
プリーツスカートは、6ヤードほどの長い布を糸で縫い縮め、それを竹筒に入れて蒸してプリーツ加工をするそうですが、プリーツの幅が2ミリほどしかないものもありました。折山が小さいものになると、どうやって折るのか、また、幅を開けずに何段も縫わないときれいなプリーツがつくれないと思うと、考えただけで気が遠くなりそうです。

少数民族といえども、その昔から交易は盛んです。展示されていた多くの木綿布は工場製品で、このスカートも、細い糸の機械織りの木綿でした。
もちろん、彼女たちは手織りの布しか知らないころからプリーツスカートをつくっていたので、より薄い布を求めて、より細かいプリーツをつくることを競い合っていたのかもしれません。


私が気に入ったのがこの上着です。
ちょっと見には、袖口と前と裾に、細く切った布を重ねて模様にしているように見えます。


ところがそうじゃない、本当の十単(じゅうひとえ)になっています。
つまり、寒いときの重ね着です。写真ではうまく色が出ていませんが、藍染めのいろいろな色がとってもきれいでした。

先日ラジオで、日本人の色感覚、それに言葉は、世界に優れていると言っている人がいました。色にいろいろな名前がついているからだというのです。
それを聞いた私は、
「ほかの民族の言葉や色感覚と比べてみたのかい?」
と突っ込みを入れたくなりました。
浅葱色、縹色、茄子紺なんて、昔の人が使っていたかもしれないけど、今の日本人はわからないし、使いません。江戸時代の人たちの色の表現が多かったとしても、今は単純化しているのに、それを引き合いに出して、どうして「他の言語に比べて、日本人の言葉が微妙な表現ができる」と言えるのでしょう?
アフリカのマサイは、牛の部位に関して、膨大な数の名前をつけています。薬草に対して、色に対してなどなど、とくに、重要と感じているものには、どの民族も優劣なく、豊かな言葉を持っているものです。
話が逸れました。


「少数民族衣装展」はもともと、5月8日まで開催の予定でしたが、笠間の陶炎祭(ひまつり)に出展するので、連休前と連休中は忙しい作家さんたちから、陶炎祭が終わってからゆっくり見たいとのリクエストがあり、会期は5月15日まで延長したそうです。


限りなく美を追求した、女性たちの心意気が伝わってくる、素敵さでした。










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