2016年5月12日木曜日

笑っちゃった

『東京新聞』に、「私の東京物語」という、全10話の連載があります。
いろいろな方が、自分と東京のかかわりを書いていて、10話完結という短さも読みやすいものです。


今、箭内道彦(やないみちひこ)さんという方の連載中ですが、笑ってしまいました。
18歳で上京した箭内さんは、すぐにレモンを二個買って、さだまさしの『檸檬』という歌の歌詞のまねをしてみようと、お茶の水駅近くの聖橋の上に立ちます。
かじりかけのレモンの一つは、『檸檬』の歌詞どおりに、橋の下を走る中央線快速の赤い電車とすれ違うように神田川に投げ、もう一つは総武線各駅停車の黄色い電車にかみ砕かれるように投げようと思いました。
でも、誰かに叱られたらどうしようと、結局は、聖橋からレモンを投げることができませんでした。

いちご白書

時が流れて、大学の卒業時(三浪したから7年後の25歳?)、松任谷由実が作詞作曲し、バンバンが歌っている『「いちご白書」をもう一度』の、

♪就職が決まって、髪を切ってきたとき、もう若くないさと、君に言い訳したね♪

という歌詞どおりのことをやりたくて、箭内さんは就職試験の一年前から髪を伸ばしはじめました。そして、就職が決まってから、大学の近くの理髪店で髪を短く切り、同級生たちに、「もう若くないさ」と、言いまわったのだそうです。
笑わずには、いられませんでした。

私は、ずっと、この歌詞は変だと思っていました。
就職試験の後ではなく、受ける前に髪を切り、試験に臨むのが当然ではないかしら、と思っていたのです。
ところが、歌詞どおりに、長い髪で就職試験を受けた人がいる!


さて、順序が逆と言えば、井上陽水の『いつもと違った春』も、やっぱりおかしいと思ってしまいます。

♪君が僕を好きになったら、体をこなにしても、心をすりつぶしても、働くのに♪

というところです。
もとより、井上陽水は、そのつもりで書いているに違いありません。
この歌にも、たとえば、

♪男は右で、女は左、真中にいた「約束」♪

などという言葉もあります。
でも、

♪君が僕を好きになったら、体をこなにしても、心をすりつぶしても、働くのに♪

というフレーズを、聞いたり口ずさんだりするたびに、
「ちゃんと働いたら、彼女だって好きになってくれるかもしれないじゃないか。働くのが先だろう」
と思ってしまうのです。

箭内さんのお話を読んで、髪を伸ばして就職試験に臨む人がいたくらいだから、好きになってくれるまで働かなかった人も、もしかしたら本当にいたかもしれないと思いました。







2 件のコメント:

  1. ほんと、可笑しいですね!
    箭内道彦さんは時々テレビで見かけます。でも私とそんなに年が変わらない人なのに、さだまさしやユーミンの歌詞をなぞるんだ~とちょっと不思議に思いました。世代の歌ではないので、子供の時に聞いていたんでしょうかね~。
    確かに就活前に髪を切れ!ですね。今の子たちならあり得ませんが、箭内さんが就職した時期はバブルの始まり。しかも博報堂のクリエーター枠なら長髪アリだったと思います。私も平成元年入社だったので何をしても「新人類は違うわー」とお姉さん方に言われました(笑)。

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  2. hiyocoさん
    これを書いて、それから新聞を広げたらその続きが載っていて、なんと就職試験に見せる、大きな作品を車に乗せて博報堂に行こうとしたら、間違えて高速に乗っちゃって、そのうち海が見えてきて、結局面接に2時間遅れたのだけれど、「まあついでだから」とほかの作品を審査中の人に言われて、面接してもらって受かったんですって。どちらがおおらかなんだか、わからなくなりました(笑)。
    じつは、その箭内さんが何している人か、私は今でも知らないのですが(爆)。

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