大きな、美しい背負い籠と出逢ってしまいました。
背に当たる部分は、杉を組んであり、篠竹(=すずたけ)を骨にして、アケビの蔓を巻いています。
幅は、1メートル以上ありますから、山仕事に使うと、木の枝や灌木に引っかかって、身動きが取れなくなってしまいます。
落ち葉を運ぶなど、野良仕事に使ったものでしょう。とても大きいので、これにキャベツや大根を入れて運ぶとなると、いったいどれだけの力が要ったのかと思います。
アケビは、嬉しいことに、どこも損傷していません。
稲わらでつくった縄は、真ん中は太く、端は細くなっている美しい仕上がりです。
「素敵だけど、大き過ぎるなぁ」
「外の壁に掛けておけば?季節の花なんか投げ入れたら最高だよ」
とまことさん。
そうか、それは愉しそうですが、これに見合うだけの花となると、手に余るほど必要です。
納屋(作業棟)の方が似合うけれど、とりあえず、母屋に掛けてみました。
大きいので見栄えがします。
この形の背負い籠は、これまで見たことがありませんでした。
アケビを使っているので、東北地方のものだろうと、ネットで検索してみました。
すると、よく似た、背負い籠が見つかりました。
東北ではなく越後のもの、新潟県長岡市宮本にある越後丘陵公園に移築された、古民家の中に展示してある背負い籠です。
写真からは、はっきりとはわかりませんが、すず竹で骨組みをつくって、稲わらの縄を巻きつけてつくってあるように見えます。
「石黒の昔の暮らし」より |
越後の背負い籠がもう一つ見つかりました。
新潟県柏崎市石黒のソエカゴ(=セオイカゴ)で、骨組みはマンサクやウワズミザクラなど粘り気のある木でつくり、アケビの蔓を巻きつけてあります。
ブログ、「萩博ブログ」より |
他にも、形が似ている籠が、他の地域でも使われていました。
山口県の萩市の沖の離島六島で使われていた背負い籠で、地元ではトノス(=鳥の巣)と呼ばれていた背負い籠です。
萩博ブログより |
1960年ごろ、相島で使われていたトノス。
萩六島では、裂き織りの野良着も見られたそうなので、海を通じて、越後と文化の交流があったのかもしれません。
ブログ「懐かしい昭和の情景を追って」より |
こちらは、広島県上石郡柚木町(現在は上石高原町)の背負い籠。
撮影されたのは2015年ですから極々最近のこと、堆肥を運んでいるそうです。
山口県と広島県は隣り合っているので、山口県から伝わったと考えたいところですが、広島県の籠の方が、越後の籠により似ていることは、どう考えたらいいのでしょうか?
この女性が、越後出身ということも考えられますが.....。
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