2016年5月9日月曜日

ほこり


朝の光が斜めに差し込むようなとき、布団をパタパタさせると、光の帯の中だけに、埃の粒が舞っているのを見ることができます。
小さいときも見たことがあるような、なぜか懐かしさも覚えてしまう埃です。


この埃の舞う光景を、本の中で目にしたのは、上橋菜穂子さんが初めてでした。
どの物語だったか正確には覚えていませんが、『天と地の守り人』シリーズの中にあったはず、『鹿の王』の中にも、そんな記述がありました。
もしかしたら、古今東西で、光の中に舞う埃を文学の中で表現したのは、上橋さんが最初かもしれません。

埃は、現代日本では、完全に敵視されています。
病気の元だとか、ダニの餌になるとか、埃を排除することが正しい生活だと思われているので、掃除機を毎日動かしている人もいるのかもしれません。
人は生まれてから、埃や微生物とともに生きてきました。体内の微生物が人の生存を支えているように、埃だって、もしかしたら生物の循環の輪の中にあるものかもしれません。

昨年だったか、たまたま聴いていたラジオから、宇宙飛行士の山崎直子さんのインタビューが聞こえてきました。
それまで、宇宙飛行にも山崎直子さんに関心を持ったことがありませんでしたが、機知と感受性に富んだ、光景が目の前にひろがるようなお話がおもしろく、すぐに引き込まれました。
その質問の中に、
「ロケットに乗って、大気圏外に出て、無重力になった瞬間の印象はどうでしたか?」
というのがありました。答えは、
「それまで停止していた埃が、空中にぱぁっと舞い上がって、それがきらきら輝いて、とってもきれいでした」
というものでした。
素晴らしい!
あの、最新の清潔空間であるロケットの中にさえ、埃がいっぱいあることに、感動してしまいました。
 

埃より、空気の中に飛び散って怖いのは、安易に使う、目には見えない化学物質です。
妹の連れ合いのやすおさんが、事務所に客を迎えるので、よくコマーシャルなどでやっている消臭剤をスプレイしたら、気をつけていたのに、水槽のメダカが全部死んでしまったそうです。

消臭剤ですら、そんな影響があるのですから、虫よけのスプレイや殺虫剤など、もってのほかですが、安易につくる人、使う人が後を絶えません。







2 件のコメント:

  1.  春さん凄い話題ですよー
    子供の頃二階で遊ぶのに母の掃除を待っていると
    物干しから差し込む光の線に反射して微粒子状のごみが
    きらきらと大量に見えました。
    後年ある本にこれが電子顕微鏡の原理とか。
     木の雨戸にある節穴からガラスに外の洗濯物の様子が
    倒立で写りますね、
    これはピンボールカメラの原理です。
     宇宙船の中ですかー
    驚きです。

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  2. 昭ちゃん
    素敵でしょう。宇宙船の中で埃がきらきらするなんて。
    山崎直子さんは子どものころ、1986年のアメリカのスペースシャトルの打ち上げ失敗、爆発の映像を見て、宇宙飛行士になろうと思ったそうですから、それだけでもちょっと変わった方だと思われますが(笑)、無重力になった時の感想が、埃がきれいだったというのは、最高でした。
    友人が、土は人間にとって最も大切なものなのに、大地を離れただけで「埃」と呼ばれると言っていましたが、そんな埃が宇宙船の中にもあって、ホッとしますね(^^♪

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