2017年7月6日木曜日

飯田へ


六人乗りの車をレンタカーして、八郷を朝の5時に出発して、さとのわ(郷の和、地域通貨)の有志面々と長野県飯田市の、地域エネルギーへの取り組みを見に行きました。
常磐道で東京へ、中央道に入っていったん諏訪湖まで北上した後、天竜川に沿って、深く切れ込んだ伊那谷を南西へと下がって行ったところに、飯田はあります。

衝立のようにそびえる二つの山脈に挟まれ、天竜川やその支流にあちこちえぐられた飯田は、昔から交通の要所でもあり、八郷とは比べものにならない大きな町でした。


5時間のドライブの末、約束の10時ぴったりに、「おひさまエネルギーファンド」という、環境保護活動をしていたNPOが発展してできた株式会社に、到着しました。
「おひさまエネルギーファンド」は、建物の保全もするという約束で、1923年(大正11年)に建てられた元測候所を借りて事務所にしています。


午前中は、飯田市役所の方から市としての取り組みについて聞き、午後から「おひさま」の取り組みを聞きました。

仕組みを簡単に説明すると、「おひさまエネルギーファンド」が保育園、老人ホーム、あるいは個人の家の屋根を、20年後に返還するという約束の元に、借り受けます。そして、ソーラーパネルは、別の個人の出資などによって調達して、借りた屋根に乗せます。

個人の出資は、一口10万円で10年後に出資者に返済されるものと、50万円で15年後に返済されるものの二種類あります。都会の大きな会社がソーラーパネルを田舎に設置して、利益をすべて都会に持ち去るのではなく、地域でお金が回ることを目指してはいますが、地域の人だけではなく、どの都道府県の人も出資でき、何口でも出資できます。もちろん返済されるお金には利子がつきます。
そして、屋根を貸した人は、いくばくかの貸し賃をもらうとともに、10年後に、出資金を返済したあとのソーラーパネルは、屋根を貸した人のものとなります。 
中学校で、「ソーラーパネル設置」を公約に掲げて当選した生徒会長の尽力で、中学校の屋根にソーラーパネルを乗せたというお話もありました。


説明のあと、山を越えて東側に位置する上村の、小規模水力発電建設予定地に行き、このプロジェクトを推進するまえしまさんにお会いして、その計画を聞きました。
天竜川の支流である上村川のそのまた支流から取水し、上村川のほとりに発電所をつくって、上村川に放流する計画です。


ちょうどこの滝の上あたりを取水地にするそうです。


75歳を超えたというまえしまさん、超お元気でした。


山は1000メートルを超えているので、支流は山の低い八郷とは比べものにならないほどの水量があり、勢いよく流れていました。


そして、美しく手入れされていました。
 

上村川からはずいぶん入ったところですが、しばらく前まで近くに一軒だけ人家があったとか、その家が取水場にしていたところに、鹿に向かっての警告が書かれていました。
鹿は、ちゃんと読んだでしょうか?
 

市役所のおがわさん、「おひさま」のはらさんやよもぎださんの取り組みもおもしろかったのですが、なんと言っても、まえしまさんの情熱には、みんなで力をもらいました。
今は「無」なのに、これから「有」にしようというのです。 


帰り、諏訪湖で一休み。


空は暗桃色から次第に真っ赤になり、月も出ました。
八郷に着くころは、途中での土砂降りもやみ、長い一日が終わりました。






4 件のコメント:

  1. 春姐さん昔話でごめーん。
     飯田・私の科の疎開先私は入隊まで東京の残務整理
    諏訪湖・憧れの湖
     東北災害当時原発反対を叫んだお偉いさんも沈黙
    国策だからでしょー
     そのなかでいろいろ努力されている方々がいるんですね。
    ソーラー発電も買い上げ金額やいろいろなトラブルがあるとか、
    所詮報道では解らない事ばかりです。

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  2. 昭ちゃん
    飯田は思い出の土地なのですよね。
    私は伊那(って、実際にはどこだったんだろう?)では、二回も泊まったことがあるし、松川も薪ストーブを受け取りに行ったことがありましたが、飯田は初めてでした。
    伊那の訪問のうちの一つはダムの反対運動をしていて、森林組合に一億円の補償金を出させた方に会いに行ったのですが、地図で見ると大きなダムは松川近くにしかありませんから、そのあたりだったのでしょうね。その補償金で巨大なリフトを設置、林道をつくって山を荒したりせず、木を運び出していました。
    今度は巨大ダムではなくて、身の丈に合った小さな堰をつくって再生可能なエネルギーをつくる人に会いに行きました。久しぶりに深い山を見ましたよ!山また山でした。

    ソーラーパネル設置とそれに伴う乱開発は、このあたりでも、森林破壊や土壌流失、景観破壊などで問題になっています。真に環境問題を考える人ではなく、お金儲けの手段として考える人がいっぱいいるから、こうなってしまうのですね。
    でも、今回、代替エネルギーに真剣に取り組んでいる人たちにお会いして、とても嬉しいことでした。

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  3. 日帰りだったのですね。お泊りだと思っていました。諏訪湖は、昨年に岡谷に行った時に電車から見ました。キラキラしていました。
    八ヶ岳に泊まった時に、ソーラーパネルと乱開発のことを聞きました。主人は一時期大学の研究室と企業施設でソーラーパネル実用案関係のことをしていたので代替エネルギーに関しては知り合った頃から続く話題です。最近も地熱発電のことで話していたのですが。九州の地熱発電所には見学に行っていました。日本は温泉と海があるので地熱発電に適していると話しているのですが、どうなんでしょう。

    クルミの季節です。甘くて美味しいです。

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  4. Bluemoonさん
    本気で考えれば、地熱利用も、代替ではないけれどゴミ焼却で出た熱の利用など、いろいろ考えられると思います。ただ、今までのところ、世のため人のためというものはない、まず金儲け、企業優先なので歪んでいると思います。
    「一般消費が伸び悩んでいる」のが景気回復のネックになっていると言われることがあります。できるだけお金を使わない生活をするのがいいことという発想がありません。
    飯田では、エネルギーも個人個人でつくるのではなく、地域社会単位で考えることがいいことという話も出ましたが、OMソーラーのようにロスのない、適材適所のエネルギー利用が、もっともっと普及することを、何とか考えたいものです。小さいことは素敵なことですもの。

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