機動力もあって、仕事の早さは、私の比ではありません。しかし、一つの作業が終わってしまうまで、その作業に必要な道具は、いちいち所定の置き場所に片づけたりせずに、ひとまとめにして、作業している場所の近くに置いておきます。
その方が、効率的だからと、と言うのです。
それは仕方ないとしても、問題はそのあとです。
一つの作業が終わったら、道具や釘などの消耗品は、いったんそれぞれの場所に返したら、とてもすっきりします。
ところが一仕事終わるころには、夫の頭の中はすでに次の作業のことでいっぱい、片づけどころではないのです。それに、また似た作業をするとき、そのまま使えばいいのだから、まとめて置けば便利だとさえ思っていて、「ひとまとめのもの」たちは、そのまま保存され(捨て置かれ)ていきます。
というわけで、あちこちに、ごったなものがたまっていき、必要なものが見当たらなくなることもしょっちゅうです。
「あのあたり、片づけられないの?」
「だめだめ、電気工事のものをまとめて入れているんだから」
「じゃあ、あっちの箱の中は捨てていい?」
「それは、水道工事のものだろう。放っておいてくれよ」
コンテナの中には、ゴミとしか見えない、電線の切れ端、塩ビパイプの切れ端などもあります。
でも、捨てていいかと訊くと、答えは、
「もちろん要るんだよ。捨てるのはいつでもできるだろう」
に、決まっています。
夫の作業台の上も、この通りです。
仮設木工室を壊したとき、行き場がなかったものを置いたまま、早、数か月(もっとか?)経つのに、手さえつけていません。私も、何度か片づけようとしましたが、あまりにごちゃごちゃで、手のつけようがありません。
これでは作業台の上で作業はできません。
夫はもう一つ作業台をつくって、そこで作業しています。そこにも、いつまでも長くて重い材木が置いてあって、片づけないので、それをいちいち迂回しなくては通れない、とても邪魔になっています。
ちなみに、これは私の作業台です。
その時つくっているものしか置いていません。
まだ、完成していない収納場所が、何か所か残っています。それらが全部完成すれば、ほとんどのものは片づくはずです。
ここは、棚の奥に、二階の上下水道のパイプを通すのを待っていました。でも、もう通してあるので、いつでもつくりはじめられます。
テーブル用の大きな材木をしまっているところは、テーブルをつくった以後にしか手をつけられません。
この、端材でごちゃごちゃしたところも、収納場所になります。
夫じゃないけれど、作業で出た端材を、いちいち遠くに片づけないで、この辺りに置いておくと、なかなか便利なのです。小さい部材でさえ、何かしら使い道があって、ほぼ無駄なく使い切っています。
しかし、いつまでもこうしてはいられません。まず、邪魔にならないところに使いやすい端材置き場をつくれば、ここの端材たちは片づきます。
さて、しばらく前に水戸に行ったとき、数年前にイベント先で出会って名刺をいただいたままになっていた、古道具屋さんに寄ったことがありました。
なかなかおしゃれな店で、中でもいくつもあった小引き出しに目が行きました。背が高いの低いの、引き出しが浅いの深いの、引手がつまみやすいの小さいの、いろいろあったのです。
収納場所には、棚だけでなく、まだまだ自分で引き出しもつくらなくてはならないのですが、良いものがあれば、買ってもいいと思い、夫に好きなのを選んでもらいました。
入れるものについては、夫の方がよく知っていると思ったのです。
選んだのは、上部に小物入れがついた、ちょっと変わったものでした。
小引き出しは、もともと目より低いところ、でもそう低すぎないところに置くと使いやすいものです。上部が小物入れになっていれば、もっと置き場所が限定されるので、その点が引っかかりました。でも、なかなか魅力的なのでこれにしたのです。
ところが夫は、店からの帰りの車の中で、もうこの小引き出しが嫌になっていました。
「たくさん入れるものがあるから、おれはプラスティックの引き出しでいいよ。こんなのたくさん買っていたら高くつくし、たくさんいるし。これはあげるよ。おれ、要らない」
その後、夫はホームセンターで、プラスティックの浅い引き出しを、一つだけ買ってみたようでした。
ある日のこと、電動工具の棚に、新しいプラスティックの引き出しが置いてありました。ここにあった、サンダーの入った道具箱は追い出されています。
しかし、電動工具の棚に小引き出しを置くのは、唐突過ぎます。
その引き出しを開けてみると、間に合わせかもしれませんが、道具も入っていれば、消耗品も入っています。
こんなことをしていたら、そのうち何もかもごちゃごちゃになって、収拾がつかなくなります。消耗品と道具は、たとえ大きさが似通っていても、厳密に分けておく必要があります。
小さいものを置いている棚の小引き出したちです。
もちろん、消耗品と道具はしっかり分けて入れてあります。高さの問題から、引き出しは置ける場所は限られているので、夫の買ったプラスティックの引き出しは、ここにはもう置く場所がありません。
でも、新しくつくる収納場所の一つを、消耗品専用の収納場所にして、そこに置くことができます。
さて、上部に小物入れがついた小引き出しも、母屋ではなくて、なんとか作業棟で活かしたいと思っています。
引き出しの底には、昭和十六年十月と書いてありました。
昭和十六年(1941)十二月の真珠湾攻撃の二か月前に買ったものです。真珠湾攻撃までは、日本にはまったくの日常生活がありましたが、昭和十七年から、まさかと思うほど、がらがらと崩れていったそうです。
この小引き出しも日常生活があったころにつくられたもの、心を込めて、しっかりつくってあります。
二階での作業が終わったら、次は収納場所づくりでしょうか?
早く何もかもすっきりと片づけてみたいものです。
もう今更、ちゃんと片付ける人にはならないですよねぇ。夫のバイク小屋もそうです。テレビでゴミ屋敷特集とかやってるけど「うちにもゴミ屋敷状態が1か所ある!」と笑えません。玄関にもすぐバイクメンテナンス用品が侵略してくるし。使ったら戻すという基本ができないので、職人にはなれませんね。
返信削除hiyocoさん
返信削除あっはっは、hiyocoさんちもそうですか。夫など、いちいち片づける人を杓子定規と軽蔑しているくらいですから、もう確信犯です(笑)。
でもたいていそんな組み合わせみたい。女性が片づけないで男性がせっせと片づけるカップル、その反対とか、友人たちと話が弾むときがあります。
もし、両方同じ性格だったら、面白くないかもしれませんね。それに反対も嫌かなぁ。私が片づけないで、向こうが片づけたら、うっとうしいかも(笑)。
私がつまらない、役に立たないものを集めて家を埋め尽くしているのに、文句を言われないことには、日ごろから感謝していますが、逆に私が関心ないのに、夫がわけのわからない石ころばかり集めたりしていたら、私は文句たらたらかもしれません(笑)。
と考えると、これでええじゃないかということになりますね(爆)。
春さん宅と正反対が我が家です(笑)
返信削除これが終わったら片付けます、といつも言い訳しています💦
その恐ろしい状況を見越してサッサと片付けてしまうのが主人です^^
しかし、これがめっちゃ困るのです、何処にあるのか分からない~
今では自分の大きな箱に全て「ほい!」と入っています
何方がどちらに歩み寄ったのか??
平和なら。。まっいいか~
あさん
返信削除「あ」さんて、もしかしてあかずきんさん?
私も結構、文句言われます。片づけておくと、「使っているのに」とか、「朝からずっとさがしていた」なんて。
そして、たまには反対もあります。自分のがないからと、勝手に持っていかれちゃって(笑)。
うちは、必ずしも平和でない時もあるけれど、何とかやっています。
それに、散らかっているようで、夫の方が目当てのものがすぐ出てくるのはなぜでしょう?私は片づけたら安心して、存在そのものも忘れ果て、何年後かに発見することがあります(笑)。
あっちこっちに主人の道具だらけです。台所にも、ランドリーにも、ベッドルームにも、ですよ。今は慣れてしまいましたが。慣れるまでは、考えるとチクチクと胃が痛くなりました。春さんのところは、道具が散かっていると言っても素敵な感じがありますよね。
返信削除竹内敏晴さんの「ことばが劈かれるとき」を読んでいます。丁度、戦中戦後のことが書いてあるところを読んでいます。引き出しの上部の仕切り、いいですよね。最初何が入っていたんでしょうね。私の想像では、お釣りに使う小銭、ですが。
すみません、間違いました。先のコメント私です。
返信削除Bluemoonさん
返信削除私も、夫だけしか使わないものは、いったいどうなっているのか、治外法権で、わからない状態ですが、一緒に使うものだけは、うるさく言ったりしています。
でも、私だって、実はいろいろ散らかしています。とくにデスクのあたり(笑)。いつの間にか散らかっていても視界から消えてしまっているのですが、ふと何かを探さなくてはならなくなった時に、こんなものまで放って置いたり、ためておいたのかと、慌てて片づけ始めます。ところが、探し物が見つかると、まず一安心。一気に残りも片づければいいのに、たいていそのままにしてしまいます。でも片付けも頭の体操と思うと、楽しいですよね(^^♪
あの小引き出しは、引手を大きいものと取り換えてありますが、もともとは引き出しの前に板を差し込んで見えなくして使っていたもののようです。だから帳場に置いて使ったのかもしれませんが、引き出しに大金を入れたりしたら、引き出しごと盗まれちゃいますよね(笑)。なんだったのかなぁ?想像してみるのも、楽しいです。
引き出しと上部の色の違いは何でだろう、と思っていました。前に板、そんな工夫があったんですね。面白いです。それなら色は見えませんね。後ろの穴は何ですか? ただの穴なら、帳場で使っていたとしたら、その穴を使って動かせない何かとくっつけていたかもしれませんよね。
返信削除Bluemoonさん
返信削除後ろの穴は空気抜きです。桐たんすでもそうですが、精巧にできたタンスは気密性がよすぎて、一つ引き出しを閉めると、押された空気が別の引き出しを押し開けます。それの予防ですね。ということは、そんなに気密性が高いほど、職人さんの腕もよかったということです。
桐ダンスは、大切な着物を湿気から守るためのものですから、もちろん空気穴などなくて、一つ引き出しを閉めたら押し出された引き出しは、ほかのが飛び出ないように、またそうっと閉めるということになります。
穴の目的はそうなんですね。勉強になりました。ありがとうございます。
返信削除着物で思い出しましたが。着物を入れようと、浅い引き出しがたくさんあるタンスをずっと探しています。これまで見たのは、奥行きと引き出しの数が良くても、どれも幅が短いんです。春さんなら、ちゃっちゃとタンスくらい作ってしまわれますよね。
春休みに入りました。4学期は10月3日からです。昨日から24日まで、花と食のお祭りしています。
Bluemoonさん
返信削除いえいえ、着物を入れるたんすなどつくれませんよ。私のつくっているのはタンスもどき、引き出しもどき、建具もどきですから(笑)。
着物入れのタンスは、薄くて、畳んだ着物が一枚ずつ入るものですね。素敵ですよね♪どこかで見た覚えがあるんだけど、誰が持っていたかしら。思い出せません。祖母も母も普通のタンスしか持っていませんでした。
あんな着物箪笥がずらっと並んでいて、選り取り見取り着物を取り出して着るなんて、一度くらいして見たかった(?、笑)。