昨今は、ネットショップを覗き見て楽しむだけの私ですが、昨年、それでも二組ばかり迎え入れました。
その一つ、アーニャ・リャボヴァさんのうさぎです。
と言っても、これはマトリョーシカではなくて貯金箱です。
にんまり笑っているこのうさぎ、それもそのはず、背中を見るとニンジンを大量に手に入れて、袋に詰めて背負っているのです。
胴に描かれている二匹のうさぎたちも、それぞれ美味しいものを手に入れたようです。
「若手のホープ」、「多作なのに二つとして同じものがない」などと、日本人のロシア雑貨屋の店主たちが口をそろえて褒めるアーニャ・リャボヴァさんとは、どんな人でしょう?
ネットで、リャボヴァさんの写真が見つかりました。はにかみ屋で物静かな人という、うわさどおりの人に見えます。
リャボヴァさんは、モスクワの雑貨市場で、自作のマトリョーシカを中心に雑貨のお店を開いています。もともとは、ただ売っているだけでしたが、お兄さんに、
「自分でも絵つけしてみたら?」
と勧められて絵つけを始めたそうです。
以後、一つのスタイルにこだわらず、新しいものに挑戦し続け、その作品がどれも魅力的で、人気を集めています。
そんな、型にはまらないリャボヴァさんだからこそ、貯金箱もつくってみたのでしょう。
貯金箱は、首が外れます。
それにしても、ロシアのものづくりの確かさには驚くばかりです。
まずは絵つけのすばらしさに目が行くのですが、轆轤(ろくろ)細工の精密さ。狂うこともなく、過不足なく開けたり閉めたりできるマトリョーシカを挽ける職人さんが、まだまだたくさんいることがわかります。
それに比べると、ほかの国(中国、インド、ヴェトナムなど)でつくられたマトリョーシカは、時間が経つとゆるくなって閉じたまま持ち上げられなかったり、きちっと閉まらなくなったり、開けることができなくなったりと、狂い易いものです。
もっとも、手仕事王国のロシアでも、10個以上のたくさんの入れ子をつくれる職人さんが減っているそうです。
あー、リャボヴァさんの微笑んでいる市場に行きたい!(^^)
返信削除今は消えてしまいましたが、マトリョーシカの通販のロシアンコレクションという店のHPに白木マトリョーシカの市場の様子の写真があり、ここも行きたかった!
ロシアの白木のマトリョーシカはどれもきちっとしていて感心するばかりです。中国その他の製品は形が悪いし、手触りも悪い…。工場のろくろのシステムのせいなのかロシアのようなまろやかな形ではないですね。材料の木材も違うようです。
多分日本で作ればきちっとできるのでしょうが、箱根の十二玉子のように大変高価になるでしょうね。できる職人さんがまずほとんどいないかも。
ロシアのセミョーノフでは工場(工房?)があってろくろの職人さんも沢山いて稼働しているようで、どうかずっと需要が続いてずっと稼働してくれますように、と遠い日本から祈っております(^^)。
karatさん
返信削除私も行ってみたいです(^^♪隅から隅まで、一日で見られるでしょうか?
マトリョーシカは、下部の木の乾かし方と、上部の木の乾かし方が違うとか、白樺だけだと重いので、入れ子の数が多くなる時は菩提樹を使うとか、いろいろな工夫があるようですが、それにしても、半世紀も一世紀も狂わないつくり方をしている、しかも世界中(というほどでもないだろうけれど)にいきわたるほど大量につくっているなんて、本当に驚異です。
そうそう、日本だったらつくれる人は全国を探しても三人だけとか、みんな人間国宝になったりとか(笑)、しかも作品は目が飛び出るほど高くて、それでも後継者がいないとか、そんなことになるでしょうね。
ウサギの顔がいいですね。日本人が作ったらこのような表情にはならない気がします。なんでロシアっぽい感じがするんでしょう?
返信削除マトリョーシカにそんな高い技術が駆使されているとは知りませんでした。ちょっとしたお土産のイメージでした。ところでなぜそんなに価格が高騰しているんでしょうか?
hiyocoさん
返信削除うさぎ、いい顔をしていますよね(^^♪
生地作りは、五つ組の定番などは、大きな自動で削れる機械を動かしているところもあるようですが、それにしてもどう削るか、「木を読む」力も必要でしょうね。すごいと思います。だって、世界のいろいろなところから手仕事が消えつつあるのに、中世の器をつくる木工技術をマトリョーシカに、イコンの絵付け技術をマトリョーシカにと、形を変えても何世紀も生かし続けているのですから。
余談ですが、第二次世界大戦の死者が一番多かったのはロシアで、二千八百万人も死んでいます。ドイツでさえ四百万人ほどですから、ダントツなのですね。最近知りました。
しかも、スウェーデンでさえ、冬は9時ごろに夜が明け、3時には暗くなるのだからもっと北のロシアはもっと日が短いし寒い!
今は室内の暖房は行き届いているようですが、よくやってきたと、感心してしまいます。