箕(み)の産地である、秋田市の太平黒沢地区の「木灰(あく)取り箕」です。
かつて、染色用に木灰を収集するために使われた箕で、穀物をふるい分ける箕よりも、ひと回り小さめにつくられています。
こんな箕で灰をすくったなんて、なんて贅沢なのでしょう!
本体には、イタヤカエデとフジの繊維が使われ、補強材として山桜(カバ)の樹皮が使われています。
つくり手は、田口召平さんです。
イタヤカエデのほかにも、シロヤナギやヤマウルシを使うこともあるそうです。素材ごとに、採取時期が違えば、採集場所も異なります。そして、それぞれに下処理があり、保管方法も違います。
田口さんは、多岐にわたる複雑な工程を熟知されていますが、大平では最後の、箕のつくり手さんになってしまいました。
イタヤカエデのほかにも、シロヤナギやヤマウルシを使うこともあるそうです。素材ごとに、採取時期が違えば、採集場所も異なります。そして、それぞれに下処理があり、保管方法も違います。
田口さんは、多岐にわたる複雑な工程を熟知されていますが、大平では最後の、箕のつくり手さんになってしまいました。
また、箕の一番傷みやすいところを、イタヤカエデで丁寧に巻いてあります。
実際の農作業で、もう手箕を使うことはなくなりました。
箕を大きなスコップ(スクープ)と見なすことでは、プラスティック製の箕がホームセンターでも売られていて、泥を運ぶという汚れる仕事にも、惜しげもなく使えます。
「使う」という実体がないのに形が残るのは難しいものですが、何とか次世代に箕づくりの技術が伝わってほしいものです。
余談ですが、ひたちなかに行く道の途中に、普通の家のちょっと広い土間で、ちょっとした日常品を扱っている荒物屋さんがあります。
店の外に置いたベンチに籠など並べていて、商いをしている印にしていますが、その中に箕もあります。ほかの籠は、売れるとそのまま手渡しますが、箕だけは「見本」で、注文すると籠師さんに伝えられて、つくってもらえる仕組みになっています。
いつからだったか、その箕の形がちょっと崩れました。聞けば、目を離したすきに風で飛ばされて、前の道で車に轢かれたのだそうです。
そこの店の前を、もう20年近く通っていますが、その「見本」の箕を店頭に見つけると、なんだかほっとします。
「お店も箕も、まだまだがんばっているなぁ」
と思いながら、通り過ぎます。
大平箕は馬が踏んでも壊れないほど頑丈だとのこと、車に轢かれた箕のことを思い出してしまいました。
太平箕は、使えば米ぬかがついていい色に変わっていくとのこと、もう米づくりをやめてしまったので、いったい何に使いましょうか?
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