2018年8月30日木曜日

手鉤


Hさんがデザインした、静岡県清水にある海洋博物館の案内書に載っていた手鉤のいろいろです。
ちなみに、この博物館はフェルケール博物館と言います。フェルケールはドイツ語で「交通」を現すそうですが、馬鹿な、ドイツ人目当てではあるまいし、ちゃんと海洋博物館と名乗ったら、もっとお客が来たのではないかと思われます。

さて、手鉤は、今でも木の柄がついた昔ながらのものを、ホームセンターなどで売っています。しかも、このように柄の長いものを売っているので、
「何に使うんだろう?」
と思ってはいましたが、漁業に使われているとは気づきませんでした。大きい魚を船にあげるときや、市場で動かすときなどに使うようです。
写真上段の短いものは、ウニ、アワビ、カキ、サザエなどを獲るとき使ったようですが、今ではステンレス製の道具が主流でしょうか。


手鉤は、重くて持つところがない、俵やかますを持つときの必需品でした。お尻の部分が太いので、手の中からすっぽ抜けることもありません。
左は、祖母の家にあったもの、真ん中は、畳をあげるために夫が骨董市で買ったもの、右は、もう古くて使わなくなったものだからと、ずいぶん前に畳屋さんがくれたものです。


そういえば、昔の家は、敷居に囲まれた場所に、畳屋さんが現場あたりで、感でつくった畳を入れたものでした。
敷居は、厳密にいえば直角にはなっていないので、どこかしっくりしないで、隙間ができたところがあったりしたので、大掃除の時、手鉤を使わないでも畳を簡単に動かすことができたような気がします。
今では、畳屋さんがコンピュータできっちり角度を出すので、畳は手鉤なしでは、とうてい持ち上げることができません。


手鉤は抜けたら危ないので、金属部分は深く入り込んでいて、二重三重に留めてありますが、これなど、金属がお尻のところまでつながって入っています。









2018年8月29日水曜日

フェンダー


昨日のフェンダーですが、そういえば結びの本『KNOTS』(C.W.ASHLEY著、アメリカ、1944年)に載っていないかと、ぱらぱら見てみました。
600ページ以上の分厚い本で、結び方は網羅されていますが、なかなかフェンダーは出てきません。


途中にこんな挿絵がありました。
編んだフェンダーではなくて、結んだフェンダーが使われています。
もしかして、結んだもの、組んだものと編んだものは厳密に区別していて、載っていないのかとあきらめたころ、500ページを過ぎてやっと出てきました。


弓型フェンダー。
輪っかをつけた綱を弓のように反らせるので弓型フェンダーと呼んだようですが、詳しいつくり方は載っていません。


使い方は載っていました。


これは、漁師のフェンダー。
簡単につくってあるし、解けばまた、綱としても使えます。


その次のページの、左のページがすべてフェンダーでした。


これは、綱に紐を添えて太くしたものに紐を巻きつけて、ある程度の太さを出し、最後に網掛けして仕上げる方法です。


それにまた紐を添えたり、巻いたりすることを繰り返して網をかければ、フェンダーはどんどん太くなりますが、けっこうたくさんの紐が必要です。
紐を材料から手づくりできる人でないと、材料を使いすぎて、ちょっと悲鳴を上げてしまうでしょう。


そしてこちらは、何か詰めものをして、それに網をかける方法、私の持っているフェンダーはこの方法でつくられています。


一部敗れていて、中に醸造時に濾すのに使うような、目の詰んだ麻布が折りたたんで入っているのが見えます。


これは、『KNOTS』に載っていた、結んだり組んだりするときの道具の数々です。


中には、網針(あばり)のように、「編む」道具も入っています。
それにしても、竹のないアメリカやヨーロッパでは何で網針をつくったのでしょう?
興味津々です。
動物の骨でつくったのかと思いましたが、これはかなり濃い色の網針、網針のイラストは何か所か出てきましたが、どんな材料でつくられているかは書かれていませんでした。いずれにしても、漁師さんは、アジアの漁師さんたちのように、気軽に網針をつくれなかったことでしょう。


『KNOTS』は1944年(戦争末期だ!)発行の古い本ですが、かつて重機がない時はすべてつないだり吊るしたり、結び仕事はどこにでも生かされて、その威力を発揮していたことのわかる、貴重な資料になっています。








2018年8月28日火曜日

見つかったぞ!

昨日は我が家で、私の同級生のプチクラス会がありました。


直前に体調を崩してこられなかった人、飛び入りできた関係ない人などもいましたが、総勢6人で、食べて飲んで、楽しいひと時を過ごしました。
中には、いい年をしてお酒を飲みすぎて、今朝、昨夜のことを覚えていない人もいました。

さて、プチクラス会をして、夫にも私にもいいことがありました。
夫は、一週間ほど前に補聴器を片方なくしてがっかりしていたのですが、庭でHさんが見つけてくれました。Hさんも補聴器を使っているので、見た瞬間補聴器と分かったのでした。


私は、Hさんが見せてくれた、清水の博物館のパンフレットの中に、持っているけれど、用途がはっきりとわからなかったものの正体を見つけました。


フェンダーというものでした。
今では、もちろん、プラスティック製になっています。


昔の船乗りさんたちの結び仕事、とっても素敵です。







2018年8月27日月曜日

なごむねぇ

土曜日に東京に行ってきました。
暑い日だったけれど、この前東京の町を歩いた時も感じたけれど、東京は暑さが上から降り注ぐだけではなくて、足元からも這い上ってきます。

帰りの電車、利根川を渡って茨城県に入ると、ちょっとほっとして、土浦、神立を過ぎると、田んぼが見えてきて、もっとほっとしました。


筑波山と田んぼ。
いつも見る風景がやっぱり落ち着きます。


恋瀬川を渡ると、石岡駅はすぐです。
恋瀬川は八郷に源流があり、同じ石岡市内の高浜で霞ヶ浦に流れ込んでいる、つまり日本でも珍しい、同一自治体内で完結している川です。



   






2018年8月26日日曜日

フランスの切手(二)


いただいたフランスの切手、二色刷りです。
はがしてみて気がつきましたが、数枚を除いて消印が押してありません。

20世紀の印刷は、一色増すごとに値段が上がり、四色刷りはとても高いものでした。そのため、一色、あるいは二色でどんなに華やにできるか、切手をデザインする人にとっては、腕の見せどころでした。



 

上の写真はたぶん、すべて二色刷りですが、三色刷りに見えるものもあり、十分華やかさが出ています。


また、二色刷りで華やかさを出せるのに、わざと色を抑えているものもあります。
原画は、切手サイズより大きいもので、細かく描いたり、銅板でエッチングにしたりして濃淡をつけていました。

さて、切手はイギリスで生まれましたが、イギリスの切手は美しくありません。日本の切手もそうですが、切手ごとに形や大きさが違い、縦横の比が美しくないものもあって、恐ろしく不ぞろいです。
また、タイのようにほとんどの切手を、全く同じ大きさと形でつくる(基本二種)国もあれば、大体の形を決めている、アメリカやフランスのような国もあります。

今はどうか、かつては切手を使うためではなく外貨獲得手段としてつくっていた国がたくさんありました。動物、スポーツ、キャラクターなどの人気柄にして、形を目立つように大きくしたり、多色を使ったりしていましたが、どれも薄っぺらで、美しいものではありませんでした。
切手は、日々使われてこその美しさです。


こちらは一色刷りの切手です。
紙質やデザインから、真ん中の切手が一番古いでしょうか。


エッフェル塔の切手には、1951年とあります。


ちなみに、日本の1951年の切手は、こんな感じでした。



新しい切手になると、つくり方が違うので、一色刷りも二色刷りも、とてもつまらなくなります。


また、フランスは名画のシリーズの切手をつくっていますが、つくり始めたときはフルカラーで気張ったものだったのかもしれませんが、総じて美しくないものばかりです。


これらは私が持っていた、フランスの名画の切手(クリスマス切手も混じっている)です。

さて、フランスの切手をたくさんいただいて、収める切手帳がありません。


そのため、手持ちの切手帳を整理して、死蔵していた、21世紀に入ってからの切手を処分する(使ってしまう)ことにしました。
21世紀になると、切手づくりはすべてコンピュータ化され、印刷技術は格段に上がり、シートで売られる記念切手が当たり前になりましたが、夢はなくなってしまいました。


切手はシートではなく、一枚一枚に心を込めてつくられたものを、一枚一枚集めるのが、楽しいものです。

かしわばらさん、切手と遊ぶ楽しい時間をありがとうございました。








2018年8月25日土曜日

フランスの切手

アンタイディーのブログに、フランスから届いた荷物に、たくさんの古い切手が貼ってあったという写真が載っていました。
なんと素敵な切手たち、もしいらないなら欲しい旨を伝えました。
切手を集めていない人でも、こんなに大量の古い切手は捨てるには忍びないことでしょう。


と、早速、送ってくださいました。


ブログに載っていなかった切手もありました。


まず、段ボールを細かく切りました。


このままでも水は染みますが、早く結果を見たい、切手を曲げないよう、固い段ボールの方を曲げるようにして、はがし取りました。


全部薄くしたところで水に浸します。


問題は、べたっとシールを貼られてしまったので、その下になった切手と、セロハンテープを貼られた切手を、うまく救出できるかどうかです。


こちらは、水も別にします。
シールもテープもうまく剥がれましたが、ちょっと表面にべとべとと糊が残って、なかなか全部は取り切れませんでした。


一晩水に浸した切手は、タイルに貼って雑巾で水分を取り、生乾きの時にはがします。
   

その昔は電話帳が切手を乾かすのに最適でしたが、いまは分厚い電話帳はないし、薄いイエローページも見当たらなかったので、『通販〇〇』にお世話になります。


しばらく挟んでおいたら紙が水を吸って湿るので、別のページに移します。


シールの下から救出した切手たちは、表面がちょっとべとっとしているのもあるので、雑誌にくっつかないように早めに取り出しましたが、残りは完全に乾くまで雑誌に挟んでおきます。

夕方には全部乾きましたが、表面にまだ糊が残っている7枚ほど、また水に逆戻りさせました。焦らず、焦らずです。