中国、貴州省の蓋つき籠、こおろぎの籠と同じ人がつくった雰囲気があります。
蓋を外側から見ると、8本のひごを真ん中で重ね合わせて16本にして編みはじめています。
そして内側から見ると、途中から平たくて太いひごを8本足していて、計32本で編みあげています。
籠本体の方の内側は、やはり8本のひごではじめています。
そして、底面がほぼ終わるころ、外側(底)で8本のひごを足し、
さらに、胴に立ち上がったところで、底から続くひごとひごの間に、太いひごを足しています。
というわけで、基本的には32本の底から立ち上げてきたひごを編みながら、胴に立ち上げた部分で足した32本の太いひごは、最初と最後、そして途中二か所で本体に編み込みながら、つくりあげています。
足した太いひごを編み込むときは、細い水平のひごのくぐらせ方が違うので内側に影響が出るはずですが、ほとんど目立ちません。
こうして、縦に走る太いひごで守られた、がっちりした籠が出来上がっています。竹を自由自在に膨らませたり細くしたりと、とても手慣れた人がつくったと思われます。
さて、蓋や底の丸い形を、中心から編む方法ですが、日本にも同じ編み方があります。
我が家にある日本の蓋つきの籠を見ると、蓋はどれも放射状に広がっていく、中国の籠と同じ編み方でしたが、本体の底はいろいろで、蓋と同じ方法のものがあり、違うものもありました。
まず、中国と同じ、8本のひごではじめているものから、宮崎県日之影町の小川鉄平さんのいりこじょけの蓋、左が外側、右が内側です。
廣島一夫さんがつくられていた籠と、同じ形ですが、日本では途中で足すひごを、外側に出して、それを意匠としているのです。
これは、熊本県水俣市の井上克彦さんのごはんじょけの蓋ですが、ちょっとびっくりです。
というのも、16本足したひごで縁まで編み上げてあるのですが、その足したひごの下にも籠があります。その部分はどうやって編んだのでしょう?
蓋の内側を見ると、8本のひごを重ねて、最初の十段ほどは半分の8本だけを編みこんで、途中から16本を編んであります。ということは、最初の16本と、足した方の16本(半分)だけはひごが重なっている、どちらかをどこかで消滅させ、縁までは行っていないということになります。
右がごはんじょけ、左がいりこじょけですが、いりこじょけの本体のつくりは中国のものと同じです。
しかし、ごはんじょけは、炊きあがったご飯を直接入れて、毎日ごしごし洗うものだからか、細いひごは使わず、平らに編みはじめたものを丸く仕上げてあります。
さて、九州では8本のひごではじめていますが、関東(たぶん)の籠になると10本ではじめています。
10本(放射状に延びているのは20本)ともなると混み合うので、この籠は最初は半分だけ編んで、途中で残りの半分も編み込み、さらに太いひごを足して仕上げています。
蓋の場合、日本ではつぎ足したひごを、隠さず飾りとして使っているだけでなく、竹の節まで見せているのが面白いところです。
関東の籠の底は、そばざるなどと同じように、四角く編んだものを途中から丸くしてあります。
関東の蓋つき籠は、夏場にごはん籠として使ったものか、またはただのもの入れだったのか、不明です。
中心から丸く編む方法は、蓋以外にも使われています。
頻繁に洗ったりする笊の場合、つぎ足したひごが長いと邪魔だったのか、別の処理をしているものもあります。
左が内側、右が底です。
さて、中国にも日本にも、太めのひごを細いひごで中心から巻いて形づくる方法があることはわかりましたが、お隣の韓国はどうなのでしょう?
ちなみに、東南アジアの籠では、この方法は見たことがありません。
いろいろな方法で平らに編んだものを、縁で何とか処理して丸く形づくります。また、ヨーロッパやアフリカでは、巻き上げ編み(コイル編み)で形づくっていきます。
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