2018年12月9日日曜日

見ず知らずのHさん

私が読むのを楽しみにしているブログに、トルコ在住の日本人女性Hさんのブログがあります。
外国暮らしの日常の話や、お姑さんや義兄弟たちとの文化的すれ違いといった話だけではなく、トルコとシリア国境で何が起こっているか、地図つきの詳しい報告があったり、「トルコ、あるある」と題して、トルコでは常識、でもよその人にとってみればという抱腹絶倒の話を拾い上げていたり、目が離せません。

ジャマル・カショギ氏

トルコのサウジアラビア大使館で、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏が殺害されたときには、いち早くトルコでの報道を事細かに書いていました。日本のマスコミが、殺害されたかどうかなどと、まだ半信半疑のころでした。
カショギ氏は、何かあったときのためにと、婚約者(トルコ人)がすべてを知ることができるようにと、時計型の録音機をつけて婚姻届けを出すために大使館に入り、そこで起こったことは、すべて婚約者のスマホに送られ、婚約者はリアルタイムで聞いていたのです。そのすさまじい惨殺の手口ときたら、読むのが躊躇されるくらいでした。
そして、それ以前に誰が大使館に入ったかも、カショギ氏の死体がどう運び出されたかも、私はHさんのブログで知りました。

ところで、この記事を書いてから約2週間、Hさんのブログは更新がありませんでした。
私は、手段を選ばないサウジアラビアの情報機関に拉致されて、消されてはいないかと気をもんでおりました。
当時、Hさんのお連れ合いは仕事で外国へ、同居しているお姑さんはその間別の息子のもとへ行き、次男さんと二人暮らしのはずでした。
しばらくぶりに更新されたブログには、珍しく日本から電話してきた妹さんから、「どうして更新しないの?ブログで生存確認しているのに」と、開口一番非難されたと書いてありました。
じつはHさんはジグソーパズルが好きで、自分への誕生祝にと買った3500ピースのジグソーパズルを、家族みんなが留守しているのをいいことに、ひたすら完成させるのに忙しかっただけだったのでした。
すっかりトルコ化されていらっしゃるHさんですが、見ず知らずの私も、Hさんの無事を知って胸をなでおろしたものでした。

ジャマル・カショギ氏殺害の件は結局、サウジアラビアのムハンマド皇太子の関与も含めて、うやむやにされてしまいました。トルコ政府は真相を知っていましたが、握った情報を国際社会に向けて発信することなく、アメリカとサウジに対する交渉材料として政治的に使ったようでした。
そのかいあってか、経済封鎖されて暴落していたトルコ通貨は、一気に回復しました。

ボートで逃れたシリア人

さて、そのHさんの最近の記事に、気になるものがありました。
しばらく前まで、シリアからの難民がイズミルあたりからエーゲ海を、ゴムボートで渡ろうとして沈没、そんなニュースが絶えなかったのですが、沿岸警備がしっかりしてきたからか、シリア難民の悲惨なニュースの報道は減っているそうです。
そのかわり、アフガニスタンやパキスタン、あるいはイラクやシリアなど多国籍の難民が、陸路でギリシャに入るという事例が増えてきました。
ギリシャは、入ってきた難民の金品、携帯電話など身ぐるみはぎ、衣服まで脱がして下着姿にして、殴る蹴るの暴行を加えたうえで、難民たちをギリシャ国境からトルコ国境へ追い返すそうです。そのため、寒いトルコ・ギリシャ国境地帯で、難民が凍死したというニュースが聞かれるようになりました。

ヨーロッパ人は、いつも人権擁護だの人命保護だの声高に言っています。
それなのに、自国に難民が入ってきたらあっさり主義を変え、組織的であろうと個人的であろうと、なぜなけなしの金品を奪うのか、なぜ寒いと知っていて身ぐるみはぐのか、なぜ暴行するのかが理解できない、つくづく、ギリシャも含めて、ヨーロッパ社会はダブルスタンダードだと、Hさんの気持ちは晴れません。


長年トルコに住んでいるHさんによれば、トルコ人は、イスラム教徒であろうとキリスト教徒であろうと、白人であろうと黒人であろうと、同じ人間として扱う、誰でも対等に扱う懐の深さを持っているそうです。
私も、Hさんのブログを読んでいると、どんどんトルコ人が好きになります。

それにしても、3500ピースのジグソーパズルを完成させるのは大変です。部屋の狭い日本では到底無理、私はタイに住んでいたころ、3200ピースくらいのジグソーパズルに挑戦したことがありましたが、完成すると全紙くらいになる大きさでも、ばらばらのピースを表にして並べるには、少なくても六畳間くらいの、誰にも邪魔されない空きスペースが必要です。






4 件のコメント:

  1. 1000ピースでもひいひい言いながらなのに、3000以上なんて気が遠くなりそうです。確かに場所が必要ですよね!出来上がりの大きさ以上に、部分部分組み合わせたものを置く場所が必要ですもんね~。あーなんかやりたくなってきた!

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  2. hiyocoさん
    確かにジグソーパズルをやっていると時間を忘れますが、ピースが500が1000になると、倍の時間ではすみません。まして3000以上なんて、うちにも一つありますが、二度とやらないでしょう。
    ちなみに、私は完成するとすぐ崩してしまって、またやる派なので、何度でも楽しめます。500くらいが一番好きです。

    昔は気分転換したいときに、時間を計りながらよくやっていました。図柄にも寄りますが、500ピースでだいたい1時間前後で完成させていましたが、40分代もありました(笑)。
    今はコンピュータに入っている無料のジグソー専門です。ピースはばらばらになっていますが、上下は最初から決まっているので、らくちんです。

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  3. 私もできたらすぐ崩して箱にしまって、何度もやる派です(笑)。簡単すぎてもつまらないし、難しすぎても嫌になるし、ちょうどいい図柄選びは簡単ではありませんね。でもやってみないと好みかどうかわからないです。
    子供のころは20ピースぐらいのパズルをどれだけ早くできるかタイムを計ってやっていました。時間を計ってやる人が他にもいるなんて、今初めて知りました。
    そうだ、今年帰省した時、母もパソコンのジグソーパズルやってました。私もそれにしようかな~。

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  4. hiyocoさん
    無料のジグソーパズル(http://www.jigsaw.x0.com/)は三種類の数になっています。
    完成するとクリヤーのマークがつきますが、全部クリヤーしたころにはコンピュータが壊れて別の機種になり、またやってしまうという体たらくです(笑)。

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