2019年1月16日水曜日

マクルーバ

イラン人のモジュガンさんが遊びに来たので、マクルーバをつくりました。
マクルーバ(アップサイドダウンご飯)は肉や野菜を敷いたお鍋にお米を乗せて、一緒に炊いたものをお皿にひっくり返して供すイラクのごちそうで、中東で広くつくられています。
パレスチナでも家庭に招かれると、よくマクルーバが出されました。私が使うお鍋は直径20センチほどのものですが、パレスチナの家庭で出されるマクルーバは、直径が40センチから50センチもあり、それに固まり肉がごろごろ乗っているという、豪快なものでした。彼らもそんな大きなお皿は持っていないので、お盆の上にひっくり返していました。

今はネットでレシピが検索できる時代なので、マクルーバを検索してみました。ところが、とても手の込んだ面倒なのもありましたが、炊飯器で炊く簡単すぎるものも多く、中には「イスラエル料理」などと間違ったタイトルをつけているものもありました。
イスラエルの家庭にアラブ料理が深く浸透しているとはいえ、「マクルーバ」という、アラビア語のついた料理をイスラエル料理と言うなんて、荒唐無稽、キムチを日本の漬物だと言うほど、変なことです。

ちなみに、以前我が家でウーファー(労働してもらって、ベッドと食事を提供する)を受け入れていたころ、イスラエルの女性が来たことがありました。ウーファーは一週間ほど滞在する人が多かった(長期滞在希望者が多かったが、我が家は10日を限度として受け入れた)ので、滞在中一度か二度は、お国の料理をつくってもらうことがあり、彼女にも、
「ユダヤ料理をつくってくれる?」
訊くと、つくってくれたのは、フォッムス(ひよこ豆のディップ)とクスクスで、どちらもアラブ料理でした。
「これってアラブ料理じゃないの」
と言っても笑っているだけ、
「クスクスは、家で週に一回はつくるよ」
ということで、ヴィーガン(菜食主義者)のつくった、肉の入らないクスクスを、初めて食べたものでした。


さて、ネットのレシピはあきらめて、いつもの『アラブのエスニック料理入門』(ジャミーラ・高橋著、千早書房、1994年)を参考にしました。
この本には、美味しいアラブ家庭料理が満載されています。


ただ、材料を変えます。この本には、焼き肉用の牛肉を使うとありますが、私はパレスチナを思い出して、いつもラムチョップを使います。今ではラムチョップも固まり(ラムフレンチラック)のままネットで買えるので、常備しています。

肉は、水2カップに対して塩小匙1杯の塩水で茹でておきます。


皮をむいたナス2個、玉ねぎ1個は1センチほどの輪切り、ピーマン2個も切って、多めの油(大匙4杯くらい)で色がつくまで揚げます(両面を焼きます)。
家庭にもよりますが、野菜は肉と一緒に炒め、そこにお米を入れたりもします。でも、多めの油で揚げておいた方がずっと美味しいので、ここではひと手間かけます。


ナスはよく油を吸うので、玉ねぎとピーマンを揚げた後、最後に揚げます。
油を吸って、油けがなくなっても足さず、両面焼き色がつくまで焼くと、あとの洗いものが便利です。


揚げた野菜には、パラパラと塩を振っておき、そのほかに、皮をむいたトマト1個も輪切りにしておきます。

米3カップ(4人前)は洗って水切りしておきます。


十分水を切ったお米に、シナモン大匙1杯、クローブ小匙2分の1杯、オールスパイス小匙2分の1杯、コショウ少々、塩小匙2杯を加えて混ぜます。
また、水4カップにはトマトペースト(なければケチャップ)大匙2杯を混ぜておきます。
  

まず、お鍋にナスを並べ、その上に茹でた肉を並べます。
こうすると、盛りつけの時、お鍋をひっくり返しても肉が鍋底にくっつかず、きれいにとれます。


肉の上に玉ねぎとピーマンを置き、トマトを並べ、その上にスパイスと混ぜた米を入れ、トマトペーストを混ぜた水を注いで火にかけ、炊きます。
私は、いつもの白いご飯を炊くように、沸騰したら火を小さくし、8分ほど弱火で炊いたら火を消して、10分ほど蒸らします。


残念ながら出来上がりの写真がありません。
いつものことですが、食べ終わって、お皿を下げてから、写真を撮っていなかったのを思い出しました。

マクルーバは、スパイスの効いたお米がおいしいし、羊肉も美味しいのですが、特筆すべきはナスと玉ねぎの美味しさです。どうしてこんなにおいしいんだろうと思うほど、ねっとりとおいしくなります。

マクルーバには、キュウリをヨーグルトとすりおろしたニンニクで和えた、サラタ・ズバーディがよく合うのですが、キュウリの季節ではないので、レタスとひよこ豆とアボカドのサラダにしました。

ところで、イランの「おにぎり」にあたるようなものは、ナンとチーズだそうです。
余談ですが、日本のカレー店ではほとんどのようにナンを焼いていますが、インドで一般的なのはナンではなく、ご飯やチャパティーです。また、日本のインドカレー店で働いている多くはネパール人ですが、ネパールにはナンはありません。ただ、彼らはナンの焼き方を修行してから日本に来るそうです。


さて、朝食にはMちゃんからもらったアラブのチーズが残っていました。


薄切りにして焼くと、モジュガンさんは、ふるさとの味だと喜んでいました。
ただし、イランのチーズはもっと油分が少ないので、焼いては食べないようでした。








0 件のコメント:

コメントを投稿