2019年3月3日日曜日

染料ビンたち

染料ビンは中が空っぽで、ラベルが残っているか、あるいはビンに商品名の陽刻が入っているのが、そのまま飾れて、一番嬉しいものです。
でも、なかなかそうはいきません。
エンボスがなく、ラベルも残っていないので商品名を突き止められないどころか、染料ビンかどうかもわからないビンがあります。また、中身が入っていたり、箱や取扱説明書まで残っているものがあります。
情報が多く残っていればいるほど、染料の歴史を知る助けとなるのですが、ビンを飾って単純に愛でたい場合、中身はどうするか、箱や説明書は捨てるに捨てられず、その処遇にちょっと困ってしまいます。

 

この三洋染のビンは、ガラスにたくさんの気泡が入っていてとても素敵です。ただ、中身が入っているので、そのよさは半分くらいしか味わえません。


というわけで、思い切って、およそ80年前のものであろうの染料をビンから出します。
長く連れ添った染料とビンは、私の非情な手によって別れ別れにされ、おまけに染料は捨てられてしまいました。


でも、ビンを洗う前から素敵な予感がします。


おぉぉ、やっぱり美しいビンでした。
染料を捨てて正解だったでしょうか。どうでしょうか。


みや͡こ染のビンは、よく出来すぎていて、ガラスに面白みがありません。
よって染粉は残したままにします。


ただこのビン、ブリキの蓋がとても素敵なのです。
灯台のロゴマークが入っています。
蓋には絹毛用と書かれているので、動物繊維専門の染料だったのでしょう。

みやこ染のHPより

みやこ染のホームページで、こんな写真を見つけました。
こちらは木綿、麻、絹、人絹用で、毛以外は何でも染まるようです。
ビンはちょっと長めで、蓋も私の持っているものとは違います。もっとも、用途が違うので、蓋は当然違うはずです。
どちらが古いのか、同じ時期か、どちらも戦前のものです。
みやこ染は、数ある染料会社の中で、いち早く金属の蓋を採用したそうです。

同上

ホームページにはこんな写真も載っていました。


さて、ゑびす染は、箱がないのに説明書つきでした。


絹と毛、動物繊維用の染料で、染め方は詳しく書いてあるのですが、事業所の住所などは書いてありません。
説明書はどうやってとっておきましょうか?


説明書に寄れば、ゑびす染には25色あったようです。
色数の中には、オレンヂとオリーブという敵性語が入っています。敵性語の使用が禁止される、1940年以前に発売されたものだったのでしょう。

さて、大手のみやこ染の桂屋は、1890年(明治23年)に、誰でも染められる染料の提供を目指して東京日本橋で創業し、今でも家庭用染料をつくり続けています。
しかし、三洋染も、説明書のついていたゑびす染の山上工業所も、どこに工場があったのか、いつ創業し、いつ廃業したのかは、まったく不明です。
  









13 件のコメント:

  1. 国防色別名カーキ色で戦時中はこれ一色です。
    母は台所で染物を
    長いガラス製の箸で色を止めていました。

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  2. あかずきん2019年3月3日 20:42

    我が家にも未開封の染料ビン(食紅)緑の小さな壜
    紙の封が貼ってあります5㎝の壜ベニヤとスカ川?エンボスがあります
    開封する・・勇気がありません(笑)

    アワアワな壜素敵ですね~

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  3. ポスターでも右手に一本
    長い箸が見えますね
    懐かしいです。


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  4. 昭ちゃん
    お母上、ガラスの箸とは本格的でしたね。
    国防色=カーキ色懐かしいです(笑)。台所で染め物をすると、独特のにおいがそこいらじゅうに漂って、湿気も増して「染めてるなぁ」感が出ていました。
    戦後も、国防色はそこいらじゅうに残っていました。

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  5. あかずきんさん
    ビンが素敵そうだと、中身を捨てる気分も出ますが、ラベルが素敵だと「このままでいいか」と思ってしまいます。
    ラベルなしでエンボスだけだと、いっそ捨ててみたら?(笑)

    染物用の染料はたくさんあったようですが、食用染料の会社もたくさんあったのでしょうか?
    とくに食紅はどこの家庭にもありました。お赤飯にちょっと入れる人さえいましたね。我が家でも、茹で卵を赤く染めて、一部切り取ってだるまさんをつくってくれるなど、親はいろいろしていました(笑)。

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  6.  姐さん昨日は雛祭りと母の命日
    おまけに姐さんのブログにあるポスターが髪型から
    ポーズまで
    母の若い頃にそっくりでジーンときました。
     両親とも東京に帰りたかったかなー

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  7. 昭ちゃん
    ご両親、いつでも昭ちゃんの近くにいらっしゃいますよ。今では東京より九州の方がなじんでいらっしゃるのではないですか?
    昭ちゃんが幸せなら、ご両親もきっと、大満足なさっていることでしょう。

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  8. 春姐さん有難う
    父には所帯を持ってから母にはひ孫の話を
    聴かせたいです。

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  9. 昭ちゃん
    まるで、「異人たちとの夏」の世界ですね。

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  10.  晴姐さん
    江戸っ子夫婦の日常会話のやり取りは最高でしたね
    浅草の「今半」のロケとか、
    中野にいた同級の幼友達はご主人を呼ぶときに
    「チョットお前さん」っと、
    私は嬉しくなって何度も呼んでもらい大笑いしました。
    「昭ちゃんはおもしろいねー」って。

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  11. 昭ちゃん
    おまいさんはいいですね。
    昭ちゃんも奥様に呼んでいただいたら?(笑)。よかばい、よかばい。

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  12. 三洋染とゑびす染は初めて見ました!!
    三洋染の瓶はエンボスに泡泡と色も良いですね~♪
    ゑびすは恵比寿様のラベルが可愛すぎます。
    毎回言っているような気もしますが染料瓶は最高です!

    私の場合ラベルが残っていれば中身はそのままに。
    ラベルなしのエンボス有りなら中身は捨ててしまいますね。
    やっぱり理想的なのは2本買って1本は洗浄ですよね(笑)

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  13. maicaさん
    maicaさんのブログを見ていて、私も染料ビンに目覚めました(笑)。ビンの後ろに、その時代をしっかり背負っているのも面白いところだと思います。
    もっともどのビンも時代を背負っていますが、染料となると薬みたいに買ってきて飲むだけとはいきませんからね。一手間かかります。
    マツ染料のビンは、2本持っていますが、どちらもラベルも中身も残っている、おまけに中身もラベルも色が違う。松の枝のエンボスを楽しみたいのに、洗う決心がつきません(笑)。

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