2019年7月2日火曜日

また染料ビン


またまた、染料ビンです。


富士染です。
ネットで調べると、大阪府八尾市に、株式会社富士染(ふじせん)工場というのがあり、コールテン、別珍など綿布の染色を手掛けているようですが、この家庭用染料がその会社でつくられたものかどうかは、定かではありません。
公害問題が認識されるようになった1970年代から、日本では色落ちが少ないけれど毒性が強い染料は使用を厳しく制限されるようになりました。
また、それまで汚れっぱなしだった河川を浄化しようと、染色後の排水は値の張る浄化装置で十分浄化してから川へ流すことが義務づけられ、染色会社の多くは海外に工場を移したり、廃業したりしてしまいました。
そんな中、株式会社富士染工場はそれらをクリアして、今でも操業を続けているようです。


みくに染です。


ごく最近、ヤフーオークションにみくに染の琺瑯の看板が出されていました。


桐山染料です。
桐山染料に関しては、わりとたくさんの情報があります。


ブログ、「ケラダマヒ」のmaicaさんは、拾ったり買ったり、未開封のものも含めて桐山染料のビンをたくさん持っていらっしゃいます。
左の「ウシオ染料」も桐山染料のもの、ラベルに「建て染め」と書いてあり、値段は直接染料の倍(100円と50円)を表記してあるそうです。
建て染めとはアルカリ染料を使った染物のこと、染料に苛性ソーダとハイドロサルファイトを作用させて還元して水に可溶にし、繊維をこの溶液に浸したのち空気にさらすと、酸化されて色が出て、洗っても落ちない堅牢な色に染められます。


maicaさんの、桐山染料の蓋の真ん中には、地球らしいものの上に立つ豆奴の絵がついています。
「豆奴印」という文字と「桐山染料本舗」の文字の間、丸に何か描いてありますが、もしかしたらこれも小さな豆奴でしょうか?


ところが、私の蓋には「豆奴印直接★桐山染料」とあるだけで、豆奴の絵は見当たりません。

さて、ネットで調べても、桐山染料の歴史といったものはわからないのですが、宣伝にとても力を入れていたという形跡は残っています。


左は特約店の店頭に置く、両面に絵のついた等身大の看板です。
そして、右はポスター、なかなか素敵です。

 

それぞれ、時代が違うのかもしれませんが、ホーローの看板もいろいろありました。
真ん中の豆奴がシルエットになった看板には、地が赤いのもあります。


また、染色のとき使う琺瑯のボウルや、


簡易絞り機など、染めものに必要な周辺道具も売っていました。


そして、特約店に置くりっぱな染料の陳列棚です。
この棚から見ると、桐山染料は色数が多かったことがうかがえます。

桐山染料には、無色のビンや、薄いグリーンのビンなどあったようですが、これはちょっとかわったビンです。


ビン自体は透明のようで、何故か内側に墨流しをしたような模様があります。
どうすればこうなるのか、ガラスづくりの知識がないのでわかりません。


大きな不純物は、もしかして蟻でしょうか?
まさかね。

ブログLonsame・chika-blogより

桐山染料にはこんな、豆奴のエンボスのあるビンもあったようです。

家庭用染料の繁栄は、たぶん1950年代まで、1960年代には、着物を染め直して仕立て直したり布団にしたりする人が減り、すっかりすたれてしまっていましたが、1970年代になってイギリスから、木綿(植物繊維は染まりにくい)も簡単に染められるダイロンが入ってきます。
ダイロンには煮て染める染料もありましたが、水で染める染料もありました。誰でも簡単に染めものができるというのがうたい文句でした。
ダイロンは色数は多く、とくにパステルカラーと言われる淡い色がたくさんありました。それまで、とても面倒だった染めものが、アパートの部屋の台所でも簡単にできるようになり、服飾雑誌はこぞってダイロンを使った染めものの特集などしていました。
染めることを、「ダイロンする」とまで言うほどでした。
おりしも、イージーオーダーやオーダーから、既製服に移行した時代、Tシャツも出てきて、好きな色に染められる染めものはちょっとしたブームになり、どこの手芸屋さんにも、ダイロンが並んでいました。
まだ、渋谷駅前など、大きな町の真ん中に布地屋さんが多くありましたが、冬と夏では布を入れ替え、冬には木綿は見つからない、見つかっても「ブロード」と呼ばれる目の詰んだ薄手で光沢のある布だけ、しかも色は限られていたことから、シーチングなどをダイロンで染めて手芸に利用する人たちも出てきました。

ダイロンが出てくるまで家庭染料は、棚の隅に埃をかぶってひっそりと置かれているイメージでしたが、桐山染料の陳列棚には驚きました。
そして、これだけ宣伝に力を入れ、色数もつくっていたのに、桐山染料がいつ創業され、どこに工場があったかなど、何一つわからない(私だけかも)のも不思議です。







6 件のコメント:

  1. こんなにも染めることが日常だったなんんて、全く想像できません。
    白いトートバッグが汚れてしまって洗ってもきれいにならないので染めようかな~と思ったのですが、藍染をやっていた知り合いに相談したら「相当きれいに洗わないときれいに染まらないかも」と言われ頓挫中です。染めた後の洋服などへの色移りもちょっと心配だし。
    昔の人は手間惜しまなかったのですね。

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  2. hiyocoさん
    トートバックは結構厚手ですか?帆布みたいに厚いと折れ目とかできて染まりにくいと思いますが、もう少し薄いと扱いが楽です。
    一番簡単なのは、使った紅茶を乾すか冷凍してためておいて、染めることです。
    まず、洗ったバッグを石鹸水に入れて沸騰させ、しばらく煮てよくすすいだ後、紅茶の出がらしと一緒に煮ます。濡れているときは濃いくらいで色落ちもするしちょうどよくなります。
    よく煮たら、よくすすいで、乾かしてお終いです。
    あとは、玉ねぎの皮を取っておいて、たくさんためて、一緒に煮たら、きれいな黄色になります。

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  3. 分厚い帆布ですが、どうせ出番がないのなら染めてみようかな~と思います。
    紅茶の出がらしは簡単でいいすね!でも暑い夏は飲まないので冬まで待つ必要があります。玉ねぎ染めもいいですね。意外と紅茶より玉ねぎの方が発色がよさそうです(逆のイメージでした)。玉ねぎの皮を集めるのも時間かかりそうですが、レストランをやっている知り合いに頼んでみようかな~、なんていろいろ考えて楽しんでいます!

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  4. 富士染いい瓶ですね!
    前に一度だけ画像で見た気がしますが珍しいです。
    これはいつか手に入れなければなりません♪
    中々染料瓶好きのお仲間は少なく、春さんの瓶情報は楽しく参考になります!

    ところでアルス染料とアニリン染いりませんか?
    部屋の整理中で色々出してきたので、今が送り時かと(・´艸`・)
    ご入り用でしたら私のブログに管理人にのみ公開で住所をお願いします。

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  5. hiyocoさん
    そうか、分厚い帆布かぁ。お風呂の中で踏んづけてしっかり隅々まで石鹸をいきわたらせた方がいいですね。
    玉ねぎの皮はもらえるならもらった方がいい、そうでなかったら網袋をぶら下げて気長に入れていきます(笑)。

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  6. maicaさん
    わぁ、このところあちこちからもらいっぱなしです。
    アルス染料とアニリン染、欲しいです(^^♪連絡します。
    そう言えば、私が特に関心を持っているビンは、染料ビン、白髪染めビン、糊ビンと女子供に関係するビンばかり(笑)、ということに最近気づきました!

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