あれは7月だったか8月だったか、まことさんから小さな引き出し箪笥を買いました。
自分でも引き出しはつくりますが、引手は気に入ったものを買おうとすると、それなりに値が張るもの、よくて安い引き出しを見つけたら、買って使った方がずっと楽です。
引き出し箪笥を買ってから、いろいろなことが立て込んでバタバタしていて、織りものの部屋にぶちこんだままになっていました。
先日は家の見学の方たちが大勢いらしたのにその部屋は掃除もしませんでしたが、後でその部屋に入る用事ができて入ってみて、申し訳ない気持ちになりました。部屋に大きな蜘蛛が棲みついていて、蝶、オニヤンマ、ナナフシなどの死骸がぶら下がったり転がったりしていたからです。
遅ればせながらその部屋を掃除し、ついでに置きっぱなしにしていた引き出し箪笥を開けてみました。
というのも、買ったとき、引き出しの中身を出そうとしたらまことさんが、
「中身も持ってって」
と言ったので、そのまま持ってきたのです。
その時は、コミセン(カシの棒。柱と梁を組むとき、動かないように貫いて差して留めるもの)が見えたので大工さんの引き出しかと思いましたが、そうではなさそうです。
コミセンはどれも細工がしてあります。
糸巻きに糸を巻くとき、ジグザグに開けた穴に沿ってガイドの竹の棒が左右に動いて、竹の棒の反対側の端が糸巻きの端から端まで行ったり来たりするので、糸をまんべんなく巻くことができるという代物です。
この札には文字が書いてありますが、読めません。
幅を違えて目立てをした銅板は、櫛にしては、目の幅が違うのが気になります。
擦り切れた印は、手掛かりになるでしょうか?
写真を反転させてみました。
「蠺」という字は見たことがなかったけれど、かいこと読むようです。
真ん中に「蠺、座紙」とあり、上には「商標登録」、下には「関東蠺座紙組合章」と読めます。
「蚕座紙(かいこざし)」は、平籠で蚕を飼うとき、「防乾紙」とともに使うものでした。120×90センチのクラフト紙のような紙で、防乾紙は桑の乾燥を防ぐ、半透明のつるつるした紙でした。
蚕座紙は最後まで使いますが、防乾紙は、蚕が3齢になるまで使います。蚕座紙に重ねて敷いて桑の乾燥を防ぎ、稚幼期は、上からも被せて使います。
どちらも、養蚕のために発明された紙で、養蚕農家を支えましたが、現在ではどちらもつくられていないそうです。
他の引き出しには、薄い銅板が入っていました。
何に使ったものか、見当もつきません。
他の引き出しには何故か、茶こしと、紙に包んだお椀が入っていました。
印が残っていることからすると、関東蚕座紙組合で使っていた引き出しだったのでしょうか?
印があまりにもすり減っていることに、盛況だった養蚕のことが偲ばれました。
春さんの記事でお名前を知った、さわださんやまことさんお二人がまるで知り合いな気がする不思議(笑)
返信削除ただただステキな「物」を私も拝見したくなります~不思議だな��
あかずきんさん
返信削除よかったら、のらさんが来るとき一緒に来てください(^^♪
季節がいいときで、日程に第三日曜が入っていれば、まことさんやさわださんにも会えますよ(笑)。
はっきり言って、ものを増やすのはやめようと思っています。でも、増えたときは仕方ないですね(笑)。