いつか『東北の伝承切り紙』(千葉惣次著、平凡社、2012年)について書きたいと表明したことがあるのですが、難しさを感じています。それでも、簡単に書いてみます。
この本で紹介されている切り紙は、東北の各神社の正月飾りであり、また氏子がお願いして宮司さんに切ってもらって自分の家に飾る、お正月飾りです。
著者の千葉さんは、2011年3月の大震災前にも、切り紙を訪ねて何度も旅されていて、すでの津波に呑まれて跡形もなくなった建物に飾られていた切り紙の写真も、紹介されています。
船霊。荒磯神社、宮城県 |
余談ですが、友人が調べて地図上に落としたのを見たことがあるのですが、古い神社はみごとに、2011年の津波到達ラインよりも内陸側に建てられていました。
屯が岡八幡宮、宮城県 |
この本に収録されている神社も、多くは集落を見下ろすような高台や、集落の一番奥などに建てられていて、津波を逃れることができたようですが、偶然ではないのでしょう。
熊野神社、岩手県 |
『東北の伝承切り紙』には、宮城県や岩手県、福島県の全部で27の神社の切り紙が紹介されています。いずれも魂のこもったもの、結界をつくるのにふさわしいものであり、またほほえましくてかわいらしいものとなっています。
桜田・山神社、宮城県 |
モチーフとしては、漁業の神であり農業の神である恵比寿大黒が、圧倒的に多いようです。
また、人形(ひとがた)もあり、牛や馬、船などもモチーフになっています。
切り紙が、厄を払い、人々の心をつなぎ、お正月には神々が賑々しく集うことによって、復興はさらに推し進められるのでしょう。
私も、被災地を訪れたとき、いろいろな場所で美しい切り紙を目にすることがありました。
切り紙の技、すごいですね!
返信削除これを見て折り紙で作った七夕飾りを思い出しました。
輪っかや網みたいなのを作りましたが、それにも意味があることを今知りました。
hiyocoさん
返信削除型紙のとり方も載っているのですが、長く伝承しているうち無駄がなくなったのでしょうね、形を極めている素晴らしさです。
そうそう、七夕飾りで網をつくりましたね。でも折り紙だと限界があるかもしれません。手漉き紙を使って、一度広げると二度と畳めないほど繊細に切ってあるようです。
また、何枚も重ねて同じ形を切るのもあります。
いい仕事ですよね。