どっしりと構えた女性の土人形は、背負子と思える、高く伸びた部分のある籠を脇に置いて、網を膝に掛けています。網は漁網に見えます。
この人形が何ものかを知る手掛かりは、台座に書いてある、ILFRACOMBEだけです。イフラクームは地名、イギリスのロンドンからまっすぐ西へいったあたりにあります。
イングランド島の尻尾みたいなところに位置し、西に海が広がっているので、夕焼けが素敵です。
イギリスに行ったことがないので、この土人形がイフラクームでつくられたものか、ほかの場所でつくられたもののイフラクームで売られていたのかわかりませんが、籠といい漁網と言い、見事なつくりです。
底から内部を見てみると、籠のあたりは後からつけたのか、全体は型を使って、粘土板を型に貼りつけて成形したことがわかります。
右は、フランスのプロヴァンス地方の土人形、こちらは手びねりなので、底に空洞はありません。
籠もさることながら、漁網は見れば見るほど、土に見えません。ここだけ、本当の布を巻きつけてあるとしか思えなくなってきます。
これがお土産ものだったとしたら、なんと精度が高いのでしょう。
季節は冬、コートを着ても、スカーフを巻いても寒さが身に染みますが、当時の女性にズボンをはくという選択肢はありませんでした。
漁師町の息遣いが聞こえてくるような土人形です。
漁師町の息遣いが聞こえてくるような土人形です。
渋いですね。地名が入っているなら普通お土産品と考えますが、生活のワンシーンを切り取ったような姿はお土産品とは思えませんね。不思議。
返信削除hiyocoさん
返信削除渋いでしょう?日本の農民人形も渋いと言えば渋いけれど、比じゃないです。
イギリスには磁器人形はありますが、腰がきゅっと細くてスカートがふわっとしたような、華やかなものばかりです。
面白いですね。