2022年3月20日日曜日


茅葺きの修行をしているMさんの集まりがありました。
集まりには、八郷の茅葺き屋根保存会のNさん、全国の茅葺き屋根保存会のUさん、Mさんの先生や友人、職人さんなど30人ばかり集まっていました。
私たちが八郷に来た20年前には、100軒ちかくあった八郷の茅葺き屋根は、今では半分の45軒ほどになってしまいました。代が替わるときに、取り壊してしまうことが多いのです。それでも、茅葺き屋根の保存に関心を持つ人や職人さんはかつてより増えていて、盛り上がりを感じているとのことでした。


この家は、荒れていたものを市が買い取り、大学とも共同して、いろいろな催しものの場として使おうと、傷んでいた屋根をすべて葺き替え、再生してきたものです。
学生たちも改修に参加しているとのことですが、杉の建具は職人さんがつくったもの、すばらしいできでした。


室内には、Mさんの作品も飾ってありました。

全国の茅葺き保存の事務局をやっているUさんが、
「茅を葺いた私の車を見ます?」
と言います。
茅葺きの車とはどんなものと思いながら近づき、ハッチバックを開けたら、茅が見えました。


茅葺き職人さんに、1日で葺いてもらったという天井は、すごくきれい、これで4束ほどの茅を使ったのだそうです。
そして夏、冷房が壊れていて、暑くて仕方がなかった車が、涼しくて快適になったそうです。


天井に番線を張り、茅は小さな束にして、後ろから順番に葺いていって、運転席の上でおわったのだとか、最後は煤竹で留めてあり、天井近くにある持ち手の周りは、しっかり刈り込んでありました。
世界に一台しかない、素適な車です。


さて、Uさんの車をのぞき込んだ夫が、
「ダッシュボードの上のわらのカメ見た?」
と訊きます。
「見たわよ。かわいいね」
と答えましたが、私がねっとりと見つめながら「欲しい」オーラを送っていないので、いつもよりあっさりしていると思ったことでしょう。
Uさんの知り合いで、いつも茅を刈るとき参加してくれる人が、毎年暮れに、わらのカメをつくってくださるのだそうです。最初は緑色も美しいカメが、だんだん色を飴色に変化させていくのだとか。3匹で色が違っていました。


「ほら、見て!」
家に帰ってから、我が家のカメを夫に見せました。
「なんだ、うちにもいたのか」
いつだったか遠野に行く途中で立ち寄った民芸品店で買ったとき、夫もいたのに全然覚えていません。
Uさんのカメは、赤米の尻尾の色がだんだん褪せてくるとのことでしたが、我が家のカメはあまり陽も当たらないので、黒米の色は残っています。





 

2 件のコメント:

  1. こんな車、見たことない!断熱効果、絶大なんですね~。
    藁のカメ、2トーンカラーの尻尾が素敵!

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  2. hiyocoさん
    さすが、茅葺き屋根への愛があふれる人の車です。しかもちょっと見にはまったくわからないところが粋です。車検もOKだったそうです。
    職人さんて何でもできるんですね。感心しました。
    カメ、可愛いでしょう?お正月の注連縄につけたりするものです。鶴とセットですが、なかなかかっこいい鶴には出逢わなくて!
    いるのはカメだけです。

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