タイの傘がとうとう壊れました。
40年も前に買ったものですから、よくもったものです。
挿しかけたままでぐにゃっとなっているので近づいて見たら、ろくろと呼ばれる部分が下に落ちていました。これでは修理不可能です。
木はタマリンドに見えます。轆轤(ろくろ)で引いて、手鋸で切れ目を入れたものですが、長い時間が経ったので、丸が歪んでいます。
壊れていないタイのお坊さまの傘(これも40年前のもの)で見ると、ここがろくろと呼ばれる部分です。
もう一つのろくろはてっぺんにあり、1本の傘に「天ろくろ」と「手元ろくろ」の2つのろくろを使います。
この2つのろくろで傘の骨を束ねているのです。
ろくろのところに見える竹の輪は、傘を畳んだときにはめるもの |
こちらは、ビルマのお坊さまの傘。ろくろの形はちょっと違いますが、機能はまったく同じです。
天ろくろは防水をしっかりしないとだめなので、地域によっていろいろ工夫されています。
和傘(日本の唐傘)は、かつては全国でつくられていましたが、今では90%以上が岐阜県でつくられています。そして、ろくろにはエゴノキが使われています。ろくろは、金属でもプラスチックでもだめ、エゴノキ以外の木材でもつくれません。
そしてそのろくろをつくっているのは日本でただ2人(2012年現在)、岐阜の木工所の職人さんしかいません。また、骨をつくる職人さんも2人しかいませんでした。
2012年、木工所にエゴノキを供給していた唯一の木こりさんがご高齢で亡くなると、エゴノキが手に入らなくなるという和傘製作の一大危機に陥りました。
そこで、岐阜県美濃市にある「森林文化アカデミー」の久津輪さんたちを中心に「エゴノキ・プロジェクト」が発足、毎年11月に1年分のエゴノキを伐り出したり、ひこばえをシカの害から守るための覆いを取りつけたりしています。
直径が4センチから6センチのまっすぐなエゴノキだけ採集、2年ほど寝かせてから細工するそうです。
岐阜和傘協会も後継者育成に乗り出しました。
和傘は、歌舞伎や日本舞踊、時代劇などに欠かせません。
と、日本の唐傘事情でしたが、タイの唐傘事情はどうなっているのでしょう?
長らく行ってもないので、さっぱりわかりません。
1980年代初頭、ビルマのお坊さまはみなさん唐傘を使用しておられましたが、タイのお坊さまはすでに黒いこうもり傘を使用しておられました。
そして、ネットで見つけたタイの傘。
ロクロは木でできていますが、骨が竹でできているように見えませんが。
もう10数年前になりますが、金沢から能登を旅した時に、同行した方が買った和傘を見せて下さいました。美しかったのは勿論ですが、その価格に驚いた事を思い出しました。確か2~3万円だったかと。
返信削除改めて調べてみると、和傘は金沢の伝統工芸品の一つとの事。最盛期は100軒以上の傘屋があったものの、現在は松田傘店のみだそうです。ちらっと価格を調べてみると、良いものは更に当時の3倍以上の値がついていました。あの時の傘はその後使われたのかどうか。
おはようございます。
返信削除山形県にもまだ1件だけ、和傘を作っているところがあります。
reiさん
返信削除そこですよね。問題は。
岐阜の和傘というのも、ネットで見ると、途方もない値段がついています。
生活必需品だったため磨かれてきたいろいろな技が、今ではすべて時間でお金に換算されてしまいます。日本の手仕事は全部そうなってしまったし、日本だけでなく世界中でそうなってしまいつつあるところでしょう。
手仕事がなくなって、伝統工芸だけ残った世界って寂しいですね。そこここに手仕事の技がちりばめられている世界、それをかつて見たことがあるというだけで、良しとしなくてはならないのでしょうか(笑)?
かつては大切だった竹、傘にも欠かせないものでしたが、今では山を荒らす厄介者です。
かねぽんさん
返信削除ネットで見たら、山形の和傘は素敵ですね!欲しくなりました(笑)。
金沢、高松など、もともとの和紙の産地には、ぽつぽつと和傘屋さんがありますね。ただ、ろくろは岐阜産かな?
日舞踊の比較的値段が安い和傘は、どうも中国製のようですね。中国おそるべし。