2023年4月2日日曜日
木製の電線ドラム
私たちは夫婦で家を自力建設したのですが、最初の1年半はアパートを借りて住んでいました。
建設現場に倉庫をつくって、刈り払い機など大きな道具は置いていましたが、毎日、その日に使う工具やお弁当を持って、犬を連れて軽トラックで、アパートから8キロほどの距離を通いました。
忘れものはできないし、通う時間はもったいないものでした。家賃ももったいなかったので、建設現場に鉄骨でビニールハウスの仮設小屋をつくり、そこにしばらく住むつもりが、結果的には6年間も住んでしまいました。
その当時、食卓代わりとなっていたのは庭に置いた電線ドラムでした。町の電線会社から、古くなって使えなくなったものをもらって来ていたのです。
元々、古くなったものを貰ってきているし雨ざらしなので傷み、修理しても使えなくなるとまたもらってきました。電線会社の方は、捨てる手間が省けるのか、快くくださいました。
電線ドラムにペンキを塗ったりつなげたり、普段もここで食事をすることがありましたが、客人と昼食を食べるときは、室内が狭いので、雨さえ降ってなければ冬でもここを使いました。
約束の日があいにくの雨だったので、雨除けの大きなシートを張って、雨の中で食事したこともありました。
電線ドラムは、新しく補充したり修理したりしながら使い続けましたが、ときおり電線会社のそばを通ると、広い敷地に置いてある電線ドラムはだんだんと木製ではないものに取って代わられていて、やがて木製のものはほとんど見かけなくなりました。
もっともその頃には家も完成して、テラスもできて、テラス用のテーブルもつくったので、庭で食事をすることはなくなり、電線ドラムが手に入らなくても困ることはありませんでした。
現在は、電線ドラムにも見えますが違うもの、古い椅子の脚に、その昔ビニールハウスの床として張っていた合板を丸く切ってくっつけたものを、庭のテーブルとして使っています。
元椅子の脚にはキャスターがついているので、芝を刈るとき押せば動くのがいいところです。
ところで先日、東京に行ったおり、木製の電線ドラムを運んでいるトラックを見かけました。
電線ドラムはもう、すべて金属製やプラスチック製のものに取って代わられて、木製のものはつくられていないと思ったのに、トラックに近づいて見たら新品でした。
久しぶりに見た木製の電線ドラム、なんだか嬉しくなりました。
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