2023年10月3日火曜日

根曲がり竹の箕

先月のことですが、息子のところで、紙袋に入れて置いた玄米にコクゾウムシがわいてしまいました。コクゾウムシは、お米の表面が真っ黒になるほどいました。
玄米をバケツに小分けして、何度も水を取り替えて洗って、テラスでバスタオルを敷いた箕の上に広げました。何度も洗ったのに、箕に広げるとコクゾウムシはまだ生き残っていて、這い出してくるのを捕まえては、熱湯を入れたボウルに落とす作業を続けること数十分、大騒ぎでした。


箕は4枚使いました。
3枚は東南アジアの丸い箕で、1枚は日本の箕でした。
数日間、日干し夜干しして、さらに晴れた日に、庭に2畳分の板を置き、その上にシーツを敷いてお米を広げて陽に当てて、やっとコクゾウムシを一掃しました。
息子夫婦は虫嫌いなのですが、
「虫がついたということは農薬を使ってないこと、焚いてみておいしかったら、ありがたく食べてね」
と言っておきました。


干すときは、軽くて平らで面積の多いカンボジアやフィリピンの箕の方が圧倒的に使いやすいのですが、日本の箕の中で一番平らな面積の多そうな箕も使ってみました。


これは長野県の戸隠箕。根曲がり竹と藤蔓でできていて、縁を桜の皮で補強してあります。平らな箕に比べると、玄米をうまく広げられませんでしたが、紙袋に移すときは、がぜん威力を発揮しました。
東南アジアの丸い箕から、紙袋に移し替えるには、手ですくうようにして入れたり、箕を傾けて散らばったお米をいったん集めなおしたりと、時間がかかりました。
東南アジアの箕の役割は、何といっても、搗きたてのお米を、何度も打ち上げてごみを取り除くことにあります。そのため、箕自体はできるだけ軽く、打ち上げたお米がこぼれないように縁をつくる必要があります。


中でも、カンボジアの箕は、打ち上げたお米をごみと選別しやすくするため、竹の節を波型に配置する工夫がされています。村の人に訊くと、
「この突起が大切なんだよ」
と言いますが、やってみても実感するには至りませんでした。
朝搗いてごみを取り除いたお米は、一回炊くだけの量なので、籠に移したり、お鍋に移したりするのはそう手間ではないのでしょう。


日本の箕は、頭上にできるだけ高く掲げて、ふるうものを少しずつ落としながらごみを取り除く使い方をします。激しく上下させたりしないので多少重くても問題ありません。
お米は、近年は収穫後、大掛かりな籾摺り機で村じゅう一斉に籾を摺り、家庭では玄米で保存する地域が大半だったので、箕の出番はそうなかったはずです。箕はおもに、蕎麦や豆類の選抜に使われました。
箕の表面には、選別するものが少しずつ落ちてきやすいよう、緯材の突起を目立たせているのではないかと思われます。


我が家では、箕というか平らな笊の出番は意外と多いものです。
いまは、染料にするコブナグサを干しています。コブナグサは八丈島の黄八丈に使用された草、美しい黄色が染まるでしょうか。


本日は箕の日でした。




2 件のコメント:

  1. 3日で箕の日ですね!今年は暑くて虫が湧きやすかったかもしれませんね。

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  2. hiyocoさん
    箕の日、いつまでもやってられないです(笑)。話題はあっという間に尽きて、今回が最後かも(爆)。

    新米の季節になりましたね。
    我が家では、夫が大好きなお米を血糖値が高いからと断っていて、と言っても、時々炊くとえらくおいしそうに食べるのですが(笑)、まだまだ、当分は昨年のお米をいただきます。

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