薬用植物を見ようと、久しぶりに『花の王国』を開いてみたら面白くて、ついつい4巻すべてを広げて見てしまいました。
園芸植物、薬用植物、
有用植物、そして珍奇植物の4巻です。
この本を購入した1990年当時は、仕事柄、熱帯の植物に夢中だったころで、
「あっ、これは見た! これ、見たい!」
と喜んだり、いつか見ようと夢を広げたりしたものでした。
それぞれの本の中から、私の好きなページを紹介してみたいと思います。
『園芸植物』からは、シクラメンです。
母がシクラメン好きで、毎年暮れには豪華な鉢を買ってお正月を迎えていましたが、風にもそよがない、静的な花のどこがいいのかと思っていました。
それが、パレスチナの村を歩くと、オリーブ畑の石垣にぽつぽつと生えている原種シクラメンが、秋には一斉に開花し、その美しさにすっかりとりこになりました。
また、日本でホームセンターで買った原種シクラメンを土に降ろすとき、球根がまん丸いのを知って、一層好きになりました。
我が家の原種シクラメンは、種が飛んであちこちから芽を出し、勝手に咲いています。球根は年々大きく育ちます。
そろそろ花の終わりですが、青息吐息だった白花も、すっかり元気になって株も増やしています。
『薬用植物』からは、コショウを選んでみました。
粒コショウは料理に欠かせませんが、庭から採ってきた緑の生コショウの実をたくさん使った家庭料理はまた別もの、懐かしい味です。
『有用植物』には衣食住に欠かせない植物たち満載ですが、一つ選ぶとしたらやっぱりイネかと思いました。
イネは、ビルマ北部、タイ北部、中国雲南地方原産です。タイの道端で野生のイネを見つけたときは感動しすぎて、タイ人にあきれられたほどでした。
図は左がイネ、中央はソバ、右はウキイネです。
4巻の中で、一番楽しいのは、やっぱり『珍奇植物』です。
オオミヤシ、フタバガキ科、ツチグリ、ラフレシアなどなど、面白い植物がたくさん掲載されている中で、私が実際に見たときに目が釘づけになったのは、タリエラヤシ(Corypha、原産地はインド東部、東南アジア)です。
タイの山中の道を走っていると、木々の間に、空に伸びる巨大な花が見えることがありました。
「なに、これ?」
タリエラヤシの樹高は、高いものは30メートルもあり、円錐状に咲く肉穂花序は、なんと3メートルから6メートルもあります。
この、バランスが悪いタリエラヤシが何本も咲いているのが突然視界に入ってくると、自分が小人になったような気持になります。一度に咲く花の数は1千万もあると言われており、発芽から開花までは数十年かかります。タリエラヤシの花は、竹の花のように突然開花し、開花後は枯死してしまいます。タリエラヤシはタイでは珍しくなくて、花が咲いているのを何度も見ました。
葉は、昔は仏典の写経に使われたそうです。
これはヤシの葉に刻まれたカンボジアの経文です、
カンボジアでは一度もタリエラヤシを見たことがありませんでしたが、森はたくさんあるので、タリエラヤシも行くところに行けば生えていることでしょう。
これはタリエラヤシの葉でつくられた経文でしょうか?
タリエラヤシの花の大きさに驚きですが、全体的な形もユニークですね。
返信削除ヤシの葉を経典に使うとは知りませんでした。ヤシは一体どれだけの用途があるのか、数え切れませんね(笑)。
hiyocoさん
返信削除最初見たとき、鉢植えが拡大されたというか、小人ってこんな感じかって思いました。
前触れもなく突然咲いて、突然枯れるなんて何を考えているのでしょうね(笑)。
温帯では竹の花が120年ぶりに咲いたとか言って珍しがりますが、タイでは毎年のように咲いていました。元同僚のお母さんは飢饉の年はお米がないので代わりに竹の花を食べたそうです。