三日居候

我が家にはこの数日、息子が拾った（？）、見ず知らずの居候のクリスがいました。
「今度、アンドリューの友だちが泊まるから」
と息子。
「どのくらいいるの？」
「さぁ、わからない。１か月かもっとか」
「えぇぇ、そんなにはだめっ！」
「迷惑はかけないよ。ご飯とか全部おれがやるから」
「迷惑をかけないって言っても、そんなに長くはだめ。暮れでいろいろあるし！」
アンドリューは、ロスアンジェルス在住の、M＋M家の娘Sちゃんの知人です。アンドリューがM＋M家に来るとき、Mくんは長期出張中で、家にはMちゃんしかいませんでした。Mくんが不在の家に男性を泊めるわけにいかないからと、Mちゃんに頼まれて我が家の作業棟にアンドリューを泊めたのでした。
誰とでもすぐ仲良くなる息子は、いつのまにかアンドリューと仲良くなって、霞ケ浦などを案内するだけでなく、八郷の後に東京に行ったアンドリューを、息子一家が住んでいた東京のマンションにも泊めていました。何も知らないでマンションに行った息子の連れ合いのあっちょは、部屋に知らない荷物が置いてあり、布団も敷いてあったので、何が起こったのかと震え上がったそうでした。
クリスは、そのアンドリューの紹介でした。
テスラに勤めていましたが、心を病んで旅に出たのだそうでした。

非情な私たちは、クリスの到着早々、泊めてあげられるのは最大２週間だからね、と言い渡しました。 
息子は１２月１５日から、在宅でできる新しい仕事に就く予定なので、のんびりしないで気を引き締めなくてはならないときです。
そんな息子とクリスが、いったいどう時を過ごすのかと思っていましたが、クリスは滝まで歩いて行ったり、息子の家でぼんやりしていたりと、一向に気にしていませんでした。

滞在２日目に、誘うとクリスは私たちと展示会に行きました。
ギャラリーのカフェでお茶を飲もうとしたとき、クリスがスマホでメニューを写すと、なんとメニューが英語になっている！　これでは何の不自由も感じません。
「抹茶は飲んだことがあるから、昆布茶を飲んでみる」
クリスは、初体験だからと昆布茶を飲みました。

滞在３日目、息子が病院に行くのにクリスもついて行きました。
「えぇっ、病院へ？」
そしてその夜は、息子家族と近くの温泉に行って楽しいひと時を過ごしたようでした。
クリスは日本に来る前に就職試験を受けていたのですが、温泉に行った火曜日の昨夜、思いがけず採用の通知が来て、金曜日にボルチモアの会社に出勤してほしいとのこと、水曜日の今日、とるもとりあえずアメリカに向けて旅立ちました。
「短い休暇だったね」
「びっくりしちゃった！まさか採用通知が来るとは思わなかった」
なにはともあれ、よかったのかな、クリスはたった３日の居候で、帰っていきました。