2023年12月12日火曜日

古作の福助さん


江戸、あるいは明治期につくられた福助さんです。
のしめの描かれた扇と、なでしこ模様の裃と袴が素敵です。姿から、福助さんというより太鼓持ちに見えます。
明治33年(1900年)に、福助足袋が福助さんを商標登録して以降、福助人形の代表的な姿は、両手をついてお辞儀をしているものとなりました。
それ以前の福助さんは、開いたり閉じたりした扇を持っているものでした。
余談ですが、1900年と言えばパリ万博が開かれた年、パリ万博に出品されたマトリョーシカが広く世界に知られた年でもありました。


昔の福助さん、見慣れたもののそう好きっていうわけではありませんが、この福助さんのまぬけだけれど気持ち悪くないお顔、彩色の感じなども気に入っています。
福助さんの特徴の一つに福耳がありますが、この福助さんの耳は特別ではないし、目立つものでもありません。

丹嘉の福助さん

『福助さん』(荒俣宏編著、筑摩書房、1993年)によると、福助さんは江戸時代に京都の伏見で人形化されました。
伏見人形の老舗の丹嘉では今でも、今風な顔の福助さんより、昔風の顔の福助さんの方を多くつくっています。
本の中では、福助さんの持っている扇をもって「左うちわ」と称したとの記述がありますが、そのわりには右手に扇を持った福助さんが多く、不思議に思っていましたが、なでしこの袴の福助さんは、正真正銘の左うちわです。


後ろ姿は、二頭身の福助さんの方が哀愁があります。








 

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