夫はafさんの居間に、ラタンの長椅子を置くよう設計しています。
我が家の椅子よりちょっと長いものです。我が家の長椅子を注文したのは14年前でした。
かつて、熱帯ではラタンが一番手に入りやすく、加工しやすく、ラタンの家具はとても一般的でした。しかし、熱帯林の産物であるラタンはいまや集めにくくなり、安いものならプラスティック、あとは金属に木を組み合わせた椅子などが一般的になっていました。
かつてラタンの家具屋さんが並んでいたあたりに今もある家具屋を軒並み調べてみましたが、どこも定刻に開いてなかったり、開いていてもラタンの家具は扱っていませんでした。家具屋さん、あまり繁盛してない?
ネットで、郊外に1軒ラタンの家具屋さんが見つかったのですが、電話すると木曜日にしか話の分かる人(店主)が帰って来ないとのこと、木曜日はタイを去る日でしたが、ここに希望をつなぎました。
都心から離れていて、行き方も難しそうだったので、一度見ておいた方がいいと、土曜日にバンコクに詳しいHさんと、Uさんもご一緒して、タクシーで下見に行きました。
店は閉まっていましたが、中にラタンの家具が見えます。
ここが優先順位筆頭となりましたが、安心はできません。村から帰った水曜日に、スマホで見つけたほかの店も、訪ねてみましたが、ラタンの家具を製作してくれるという店は見つかりませんでした。
そして木曜日、まだ返してなかったレンタカーで、バンコクの複雑な道を走り(ナビのおかげ)、郊外の家具屋SARNNに行きました。約束の時間の10時には早かったのですが、店が開いていて、図面や写真で説明すると、図面通りにつくって日本に送ってくれることになりました。目的達成です!
しかし、ここで、小躍りして喜んではいけません。店主はラタンもどきでつくることを考えていたのです。
上の写真の家具はすべて、アルミニウムのフレームに、ラタンもどきのプラスティック材料をかぶせてつくったもの、現在はこれが主流で、長持ちすると喜ばれているのです。
上の写真では、本物のラタンを使ったのは、手前のロッキングチェアだけでしょうか?
この丸椅子は本物のラタン製。細い(最近の)ラタンは弱く、我が家の長椅子のラタンのようにすぐ切れてしまうので、この丸椅子と同じの太いラタンを使ってつくってもらいます。
アルミニウムのフレーム+ラタンもどきでつくるのが一番安いのですが、本物のラタンではアルミニウムのフレームを使うことが出来ず、木のフレーム、棒ラタンの座(マットの下に渡す)、そして本物のラタン張りにすると、最初の見積もりの6割り増しくらいになってしまいました。出来上がりは約1か月後とか、もちろんマット(クッション)もマットカバーも含まれています。
かつて、息子の家の長椅子をつくろうとしたとき、フレームは木で自作しましたが、ラバーフォームはネットで買いました。高反発の硬いものはたいへん高額で、しかたなく中くらいの固さのものにしましたが加工できるのは決まった厚みのラバーフォームを直方体に切るだけで、背もたれを斜めのマットにしたかったのですが、それはできませんせんでした。
また、座面と背もたれで8個のマットのカバー制作は、知り合いの家具屋さんに見積もりしてもらったら、カバーだけなのに、なんと13万円ほどと算出されました。
「うそっ!」
仕方なく内カバーは自分でつくって、外カバーは専門の店ではなく家具屋さんの知り合いの素人さんにつくってもらったのですが、それでもラバーフォームとカバーの両方で10万円近くなってしまいました。
さて、息子の家の長椅子は昨年5月ごろ出来上がっていますが、ずるずると出来上がった、というかまだ出来上がってないと言うか、そんな状態だったので、ブログの記事にはしていませんでした。
まず、厚い合板でフレームを2つつくり、それに板を渡して長椅子としました。
寸法に切って送られてきたラバーフォームには、内カバーを自分でつけ、さらにつくってもらった外カバー(右手)をかぶせました。
外カバーは、値段を抑えるために、家具屋さんの余りものだったという2色の布を使っています。背もたれのマットは、写真では寝ていますが、もちろん立てて使っています。
さて、自分でつくってさえこの値段、そしてこの出来上がりと比較すれば、高いとはいえ、ラタンの長椅子はとてもよい買いものでした。ラタンの家具はタイのみならず世界から消えつつあるし、タイ以外にはこの椅子をつくる技術がないし、これ以上の選択はなかったかと思われます。
これは、昔のタイのインテリアの雑誌に載っていた写真です。
寸法を告げるだけで、どこの家具屋さんでもつくってくれたものですが...、今は昔です。