織物は、織機に張った経糸に、緯糸を通して、織っていきます。
経糸(たていと)を互い違いに上下に開いた、狭い空間を、緯糸(よこいと)を巻いた管(くだ)をおさめた杼(ひ、シャトル)は、行ったり来たり、飛び交います。
布の幅が広いほど、杼は遠くまで飛ばさなくてはなりません。
緯糸を、できるだけ長く管に巻いておくと、何度も管を交換しなくていいので、そうしたいものです。しかし、緯糸がかさばると、経糸の間を、飛ぶようにくぐってはいきません。しかたなく、緯糸の長さに折り合いをつけ、糸を巻いた管が太くなりすぎない程度にとどめます。
この杼は、日本の力織機用のもので、管はラオスの竹製のものです。
杼は、穴が開いているとか、このように受け棒が出ているとか、管を取りつけ易いようになっています。緯糸が、スムーズに出て行くための、穴も開けられています。
杼の仕組みは、どこの杼でもだいたい同じですが、全然違うものがあります。
韓国の杼です。
ソウルの仁寺洞(インサドン)で手に入れたものですが、経糸のあいだをくぐらせるものにしては、とても分厚いものです。
太い糸を使うなら、厚みは必要であるとしても、緯糸を出す穴が、変なところに開いています。
短い方は、左右互い違いに、
長い方は、同じあたりに。
その穴は、あまり太い糸が出ていく穴のようには見えません。
そして、緯糸を巻いた管をおさめるための仕組みが見られません。
ただ、大きい方には、なにも引っかかりそうにはない窪みが片方に、
そして、短い方には両端にできています。
いったい、どうやって緯糸を杼におさめ、どんな糸を使って、何をつくったものでしょう?
それにしても、短い方は特によく使い込まれていて、つやつやと美しいものです。
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