2010年12月8日水曜日
ホール
織物の歴史は古く、紀元前6000年ころに織られた布が、中国、中東、エジプトなどで見つかっています。
絹織物は中国で発祥し、周辺に広がっていきました。
カンボジアには、インドから、ヒンドゥー文化とともに伝わりました。お布施という言葉には、「布」の文字が入っていますが、お寺に奉納するために、競って美しい布が織られ、織物が発展したのでした。
隣国ラオスやタイの絣織が経糸と緯糸を、一本ずつ交互に通す平織りなのに比べて、カンボジアの絹織物は、ほとんど綾織になっています。平織りは、裏も表も同じですが、綾織にすると、絣に染めた緯糸が表に多く見えて、布に光沢が出ます。
織物は、お寺に奉納するだけでなく、人々の暮らしも彩りました。
これは、そんな布たちです。
カンボジアの結婚式は、人を大勢招待します。もちろん貧富の差によっても違いますが、中くらいのプノンペン市民の平均招待数は、300人くらいでしょうか。
そのため、結婚式に出席する機会が多くなり、ついついフォーマルな絹の腰巻、ホールをつくってしまうことになります。私の場合、祝賀会や卒業式などでも、ホールは役に立ったのですが、今では箪笥の肥やしになっています。
もっとも、ホールはよくできていて、解けば日本の着物のように、一枚の布に戻ります。
上は、そんな、市場で買った古い布でつくったホールです。
元同僚のナリンさんのお母さんが、ナリンさんの弟の結婚式に身につけていたホールです。
ポルポト時代もかいくぐった、古い、たいせつなものなのに、欲しがって、いただいてしまいました。もちろん、新しいものを、代わりに差し上げましたが。
写真ではわかりませんが、何度も水洗いした、古い絹は、とろとろと柔らかいのに比べて、新しいものは、長いことごわごわしています。
よく似ていますが、同じ模様はなかなかありません。これも古いものです。
織物の村まで出かけて、二着分使ってなにかつくりたいと探しても見つからないくらいです。
赤、黄色、藍の三色で染めたものが伝統的な絣ですが、化学染料のある昨今、いろいろな色の絣も織られています。
ホールは経糸が横になるように身につけます。ということは、カンボジアの絣はほとんどが緯糸絣です。
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