2012年3月20日火曜日

牛乳ビン




中国の籠を持っていたがんこやさんが、牛乳ビンを持っていました。
「日本で一番古いらしい、グリコ牛乳だよ」

ガラスビンは好きですが、きれいに洗って、ガラスを楽しむのが好きです。
「ラベルがついていたら洗えないなぁ」
としばし考えていましたが、四本持ってきた最後の一本ということで、大負けに負けてくれたので、いただいてきました。


おもに曇っていたのは外側だったようで、拭くときれいになりました。

ロゴは、富士山と三艘の帆掛け舟に囲まれて、丸に「嶋」の字のある、かわいいものです。底近くには、右から横書きで、「嶋田同心製乳組合 」とあり、反対側には、縦書きで、「一八〇CC]とありました。


残っているラベルには、「グリコ牛乳」と書いてありますが、キャラメルの江崎グリコが牛乳を始めたのは、戦後の1956年ですから、別のグリコです。

グリコ牛乳の下には、「島田同心製乳組合謹製」とあります。住所は、「静岡県富士郡吉原町」、グリコ牛乳とは、嶋田(島田)同心製乳組合の牛乳の名前でした。

住所の下には、値段が書いてあります。
「定価拾五銭」
亡父が戦前は十銭でお饅頭がたくさん買えたと言っていたので、比較すると高い気がしますが、珍しい牛乳が高かったのでしょうか。
値段だけでは、いつごろのものか、さっぱりわかりません。


ラベルの端の方には、「空壜ヲ窓カラ投ゲルコトハ危険デスカラシナイデ下サイ」と書いてあります。
ということは、このグリコ牛乳は、駅で売られていたものだったのでしょう。売店でも売られていたかもしれませんが、箱を肩からさげた牛乳売りが、列車がつくたびに、プラットホームを売り歩いていたものに違いありません。
「牛乳ぇーい、牛乳ぅー」
と、声が聞こえてくるようです。


そして、もう一つの注意書きもおもしろいのです。
「本品ハ滋養豊富ニシテ且美味絶對腐敗ノ恐レナク四季ノ飲料中最適品ナリ」。

たぶん、かっこつけて牛乳を買ってみたものの、生まれて初めて飲む味になじめず、
「おっちゃん、これ腐ってるら(静岡弁のつもり)」
というクレームが続出したので、わざわざ腐ってないと断らなくてはならなかったのではないでしょうか。それにしても、「絶対腐敗の恐れなく」とは、強く出たものです。

ラベルもついていないただのビンが好きですが、こんなに情報が満載されたビンもなかなかおもしろいなと、思った次第でした。


右二つも牛乳ビンです。
左のはエンボスがなく、真ん中のは守山牛乳とあります。左から横書きですから、戦後つくられたビンです。
がんこやさんのブログを見ると、嶋田同心製乳組合のビンにも、守山文化牛乳のラベルが貼られたものがあったそうです。

王冠で閉じる牛乳は、お砂糖も入っていたのでしょうか?


ところ変われば牛乳ビンも変わる、これはオーストラリアのシドニーとエンボスのある、牛乳ビンです。
底が直径10センチもある12角形のビンは、種よし、ビーズよし、ボタンよし。何を入れてもきれいに見える、便利なビンです。

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