カンボジアの織物の道具、糸巻き機です。
はめ込み式になっています。
立ち上がり部分の穴に棒を通し、それに糸枠をさして使います。
もちろん、高貴なお方やお金持ちが使うのではない、ただの職人さんの使った、ただの道具ですが、全体に彫り模様を入れて、彩色もしてあります。
台は重くないとひっくり返るので、重くつくる必要がありますが、浅くきれいにくり抜いて、糸などちょっと入れておけるようにポケットがつくってあります。
全体に模様を刻み、こんなに凝っているのに、差し込んである立ち上がりの部分と、台座の部分がねじれています。そのため、棒をさしてみると、台座と平行になりません。
こんなに精巧な細工のできる人たちですから、うっかり歪んだというものではなさそうです。
下のポケットが使いやすいようにずらしているのか、それともほかの理由があるのか、どうして歪んでいるのでしょう?
糸枠です。
赤だけでなく金色も使って、道具というより、工芸品のようです。
こんな糸枠をプノンペンの骨董市場でたくさんみました。
市場に案内した、日本からの友だちたちに、
「サイドテーブルにしたら素敵よ」
と勧めたことも、何度もありました。
それほど、ありふれたものでした。
糸巻き機に、糸枠をセットしてみます。
かつて、織物の盛んな村の周りに流れていた、充実した時間が目に浮かびます。
うっとりしてしまう優雅さです。
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